「女生徒」思春期の少女の気持ちがリアルに表現された太宰治の小説

「女生徒」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「女生徒」を読んだきっかけ

太宰治の作品は人間失格しか読んだことが無かったため、比較的明るい作品も読んでみたいと思ったからです。当時、学生だったのでいい勉強になったらいいなという気持ちもありました。短編小説なので、移動時間にも読みやすいだろうと思い手に取りました。

「女生徒」はどんな小説?

「女生徒」は太宰治の短編小説です。太宰治のファンの女性が書いた日記を元に作られているため、女性の視点で語られています。思春期の少女の揺れ動く気持ちがリアルに表現されていて、現代を生きる女性からも共感を呼んでいます。

起承転結があるようなストーリーではなく、朝目が覚めて、そしてまた1日が終わっていく。多感な時期の女の子の心情が綴られている作品です。

「女生徒」のあらすじ・ストーリー

14歳の少女が、朝目を覚ますところから夜眠りにつくまでのとある一日を描いた物語です。少女は、母親と二人で暮らしており、父親を亡くしています。

朝の準備をしながら、もっとうるおいのあるいい目になりたい。美しい目のひとと沢山逢ってみたいと思いを馳せます。かと思えば、飼っている犬のジャピィを可愛がり、カアというもう一匹の犬にわざと意地悪をしてしまいます。

そんな自分を「厭な子だ」と感じ、うんざりするのです。少女の他愛のない一日は、通学、学校生活、母親への複雑な心境など、眠りにつくその瞬間まで語られます。

「女生徒」を読んだ感想

「幸福は一夜おくれて来る」という言葉に感銘を受けました。ぼんやりと幸福を願いながら、毎日を過ごし、それでも夜は欝々としてしまうこともあります。

しかし、文中にもありますが、幸福は一生来ないと分かっていても、きっと来る、あすは来ると信じて眠るという考え方は、現代を生きる私たちにとって、薬になる言葉だと感じます。

それから、太宰治の作品と言われると堅苦しく絶望的な作品をイメージしやすいかと思いますが、この作品は女子高生のツイッターの裏アカウントを覗いているような気持ちになります。

とくに、労働者四人に厭な言葉を吐きかけられた時に「こんなにくだらない事に平然となれる様に、早く強く、清く、なりたかった。」と少女が思う場面は、若い女の子の共感ポイントだと思います。多感な時期の女の子のやるせなさや、苛立ちを感じている人には、是非読んでもらいたいと思いました。

また、この作品は落ち込んでいる文章の次の行では希望に満ち溢れていたり、全然違うことを考えていたりするので、誰かの心の中の言葉をそのまま文章化したような感覚で読むことができます。

私も日々の生活に一喜一憂しながらも、幸福は一夜おくれて来る。だからこそ、諦めずに明日も明後日も生きていきたいです。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

太宰治の小説「女生徒」と、今井キラ書き下ろしのイラストとのコラボレーション作品もあります。小説としても画集としても楽しめる一冊です。

その他、「女生徒」が読める電子書籍ストアはこちらです。

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