「エミリの小さな包丁」祖父が大事に使い続けてきた包丁から愛すべき存在に気が付くエミリ【あらすじ・感想】

「エミリの小さな包丁」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「エミリの小さな包丁」を読んだきっかけ

家族が図書館で借りてきた文庫本で、家族が読み終わって返済日まで日にちがあったので読みました。

この本を読んだ時期は夏で、物語の季節もひと夏の少女の経験が書かれています。私と物語の少女の夏がシンクロしそうだったたので読もうと思いました。表紙デザインもカラフルで明るい色合いで描かれていてとても爽やかな雰囲気があり、つい惹き込まれました。

「エミリの小さな包丁」はどんな小説?

「エミリの小さな包丁」は青春群像小説です。

20代前半の女性が都会の生活に疲れたため、漁師町に住んでいる唯一頼れる家族で、十数年も会っていなかった母方の祖父と一緒に暮らそうとする事から物語は始まります。

「エミリの小さな包丁」のあらすじ・ストーリー

主人公エミリの母親は再婚して別に暮らし、兄は海外で暮らしていて頼れるのは祖父のみです。祖父はあまり口数が多くなく、エミリに対してもあまり話はしません。そんな2人を繋ぐものは「料理」です。

高級料理や凝った料理ではなく、漁師町で獲れる魚を調理した家庭料理が多く出てきます。初めはエミリは調理はあまり任せてもらえませんが、祖父の使い込まれた包丁の研ぎを任されます。祖父と毎日を暮らしていく内にエミリも祖父の料理を手伝い調理が上手になっていきます。

エミリはやがて町の人達とも仲良くなっていき、楽しいふれあいや淡い恋なども経験していきます。毎日、町の景色や風景の美しさに溶け込む中で都会の暮らしも忘れていきます。やがて、夏の終わりかけにエミリは町を出る決意をします。祖父は手土産として使い込まれた包丁を贈ります。その包丁の過去の全貌が明らかになる事で心温まる結末が待っています。

「エミリの小さな包丁」の感想

この祖父の日常はとてものんびりです。のんびりと言ってもダラダラと過ごしているのではなく、朝早く起き犬の散歩に行き、日が沈めばご飯を食べて寝る。そんな時間の流れ方に引きこまれ、この物語を読む事で私の日常の流れる時間までもがゆっくり感じさせられます。この町に住む人たちも、都会から来たエミリに優しく接してくれます。

また、出てくる魚料理も絶品です。豪華ではないけれど、活字で読んで料理を想像しても美味しく感じられる程です。

私の一番好きなシーンはラストで、包丁の過去が分かった時です。エミリはこの包丁は祖父が愛していた祖母から贈られたものだと思っていましたが、そうではありませんでした。

祖父は小さくなるまで研いで大事にこの包丁を使い続けていました。祖父は大事に使い続けていた包丁の贈り主のことも愛していたはずです。

エミリは祖父と暮らす内に祖父の中に大きな愛がある事に気づきます。そしてエミリ自身にも愛すべき存在があることに気がつきます。

時間に追われ忙しなく生きていくと人は愛を忘れます。この本はそんな愛の取り戻し方を教えてくれる一冊です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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