読者が書いた「オー!ファーザー」のあらすじと感想です。
読んだきっかけ
元々、伊坂幸太郎さんのファンだったので、気になっていた一冊です。普通ではちょっと考えられない親子関係にとても興味がありました。
親子愛とミステリーを1度に楽しめる作品だと思ったので、読んでみました。
どんな小説?
この作品は、伊坂幸太郎さんにより2010年に発売された、家族愛とミステリーが融合した長編小説です。
高校生の由紀夫には、母親と4人の父親がいました。個性的な父親たちとの生活は、端から見ると不思議な家族でも、由紀夫にとってはあたりまえのことでした。父親の愛とは、家族とはと考えさせられる一冊です。
あらすじ
高校生の由紀夫は6人家族でした。その家族構成は一般的なものとは違いました。由紀夫には、母親と4人の父親がいたのです。なぜ父親が4人もいるのかというと、それは母親の和代が同時に4人の男性と交際していたからなのです。
大学の先生をしている悟、中学校教諭の勲、バーを経営している葵、ギャンブラーの鷹。
彼らは誰が由紀夫の父親なのかはっきりさせないまま、ずっと一緒に暮らしてきました。母親が出張で留守の間も、由紀夫は父親たちに守られて生活していました。
ですが、そんな由紀夫の秘密が、クラスメートである多恵子に知られてしまいました。そして、由紀夫は多恵子に言われて、一緒に不登校中の小宮山の家に行きました。小宮山には会えませんでしたが、それからというもの、由紀夫の周囲でトラブルが起き始めます。
ある日。由紀夫は怪しい現場を目撃してしまいます。そのことを父親たちに相談する由紀夫ですが、やがてそのことが知事選と絡み、由紀夫自身にもピンチが訪れます。そして、由紀夫の絶体絶命のピンチに父親たちが立ち上がりました。
読んだ感想
由紀夫の家族は、ちょっと変わっているのかもしれません。最初は、コメディチックに話が進みます。お父さんが4人もいるという違和感が、次第に薄れてしまうぐらい、彼らは普通に親子なのです。
もし、好きな女性が複数の相手と交際していたら、大抵は嫌いになってしまうものです。なのに、彼らはそれでも由紀夫の母親を愛して、生まれてきた由紀夫を我が子として慈しみます。
その父親たちの魅力が、この作品のすべてのように思えます。博識な悟に、スポーツ万能な勲。優しい葵に、気さくな鷹。4人それぞれ性格が違うのに、なぜか抜群のチームワークなんです。
彼らは、自分達が教えられることは、すべて由紀夫に教えてきました。誰が本当の父親なのか調べないのは知ることが怖いからなのかもしれません。何気ない日常の幸せがそこにはあるように見えました。
そして、一見するとバラバラに起きた出来事が、やがて一直線に繋がっていく様子は、まるでクロスワードパズルを解くときのような感覚にさせてくれます。親子というのに決まった形があるのだろうか。
なぜ父親は一人でなくてはいけないのだろうか。読み終わった後に、これまでの常識がひっくり返るような錯覚になります。お父さんの愛はこんなにも深いのかと考えさせられる作品です。
Amazonや楽天で購入して読むことができます。
その他、「オー!ファーザー」が読める電子書籍ストアはこちらです。