「ポルシェ太郎」高級車ポルシェ911を購入してから狂いだした人生【あらすじ・感想】

「ポルシェ太郎」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

ポルシェ太郎を読んだきっかけ

この小説の作者は「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞した羽田圭介氏です。彼の小説はその受賞作を始め、いくつか読んできました。この作品はタイトルが面白く、発売前から注目していただけに、とても楽しみにして読みました。

「ポルシェ太郎」はどんな小説?

タイトルの「ポルシェ太郎」は、作中で太郎と呼ばれる主人公がポルシェ911というスーパーカーを購入することからです。

そのままで何の捻りもありませんが、そのポルシェを購入したことがきっかけで太郎の意識が変わり、これまでとは違った人生を歩むことになっていきます。

作者の後日談で、ちょうど自身も車を買おうとしていた時期で、その時の候補としてのポルシェの911も挙がっていたそうです。実際に購入したのはBMWの車でしたが、ポルシェも大変魅力的だったことから、この車を買うとこんなことになるかも知れないといったストーリーとして考案した話だという触れ込みです。

「ポルシェ太郎」のあらすじ・ストーリー

太郎はタイトルの通り、少々無理をしてポルシェ911という高級車を購入します。35歳にしての購入には本人とても満足しており、そのオーナーとして恥ずかしくない生活に改めようと決心します。

ですが、その決心が少々違う方向に向き始めます。ポルシェの次はこれだと次々と欲望が丸出しになり始め、家賃の高いマンションに引っ越すくらいはいいものの、慣れない投資(仮想通貨など)に手を出すようなことも始めてしまいます。

そう何もかもうまくいくはずがなく、次第に歯車が狂い始めます。背伸びをしてポルシェを買ったはいいものの、自身がそれに追いついていないことに気付いた時にはもう遅く、挙句の果てに違法な運び屋まですることになってしまいました。

それもポルシェや今の生活を維持する為で、そうこうしているうちに、自身が経営している会社の業績にも影響が出始めてしまいます。そして、これではいけないと気付いた太郎は、ポルシェを手放す決断をするという話です。

「ポルシェ太郎」を読んだ感想

太郎が購入したポルシェ911は、日本円にしておよそ1200万円ほどの車です。版権の関係から、写真はおろかその車のイラストの1つも載っていないので、どのような車なのかというイメージが浮かび難いですが、今の時代であれば検索1つでそのようなことは分かるので、私も早速調べました。

それがポルシェを代表するスーパーカーの1つだと分かると、いくら会社を経営している身とは言え(それほど大きな会社でもありません)、購入にはそれなりの決心の上だと分かりました。

そこまでは目標としていたものが手に入った太郎にうらやましささえ感じたものの、後に無理をし過ぎて堕落していく姿には“いい気味だ”と思ってしまう部分さえあります。

太郎はポルシェを買ったことで、自分の人間的なランク(とでも表現できるもの)が上がったと勘違いしてしまったのです。最後にそれに気付くことになり、ポルシェを売却してすっかり前の生活に戻ったことで、何とか自身の会社の倒産にも至りませんでしたが、もう一歩遅ければ、何もかも失っていたでしょう。

このような内容から、人間図に乗り過ぎるとろくなことがないと学ばされる小説だと言うことができます。個人的には、もしや最後に何もかも失うのではないかと思って読み進めていましたが、そこまでには至らないのが羽田圭介氏の小説の特徴かも知れません。同氏の小説では、全く救いのない終わり方をするものはまずなく、この小説もまた然りといったところです。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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