「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」意識と無意識のファンタジー

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだきっかけ

父親が村上春樹のファンであり、家の中に文庫本がありました。中学生の頃、一回読んでみたのですが、難しくて途中で挫折。そのまま読まずにいましたが、大学生の時にもう一度挑戦して、今では愛読書となっています。

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」はどんな小説?

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は、毎年ノーベル賞候補として名があがるほどの著名作家、村上春樹が1985年に刊行した長編小説です。

物語は2つのパートに分かれており、「僕」が主人公の「世界の終わり」と、「私」が主人公の「ハードボイルドワンダーランド」の2編が章ごとに交互に展開されるという面白い構成の作品です。

「 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のあらすじ・ストーリー

「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」の2つのパートから成る本作、物語の冒頭を飾る「ハードボイルドワンダーランド」は、「私」という男性が主人公で、職業は「計算士」をしています。

計算士とは、データを暗号化して盗まれないようにするための計算を行う人間のことです。

「私」は、ある老博士に不可思議な研究所に招かれ、脳内の思考回路を使用する「シャフリング」なる技術の使用を依頼されるのです。計算士の暗号化したデータを、解読するのが「記号士」であり、計算士と記号士の両者は、暗号化→解読のいたちごっこを日夜行う関係。

「シャフリング」は特別な人間にしか許されない、最強の暗号化作業でした。しかしこの博士と関わったことで「私」の運命は厄介な方向へと進んでいきます。

一方、もう1篇の「世界の終わり」の主人公「僕」は、壁で隔絶された街にたどり着き、「夢読み」という仕事をすることになります。その仕事が何なのか、なぜその仕事をしなければならないのかはわかりません。その街に住む人々には、心がなく、平穏で静かに暮らしていますが、「僕」は心がない街の人々に、どこか違和感を感じるのでした。

再び「ハードボイルドワンダーランド」では、シャフリングを行っている間に老博士が行方不明になり、大事な研究が盗まれてしまいます。老博士を探すために、彼の孫娘と行動する「私」に待っていたのは、驚愕の事実でした。「私」の脳内には元ある思考とは別の思考回路が組み込まれており、間もなく全ての思考回路が結合してしまうという事実です。

その結合は「私」の現実の思考を、別の思考に閉じ込めてしまうということでした。つまり、現実の思考とは異なる、「世界の終わり」という別思考の中に、永遠に閉じ込められるということだったのです。かくして「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」はつながります。結末がどうなったのかは解釈次第です。

「 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだ感想

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は2つのパートが交互に展開されるため、なかなか難しい小説です。しかし、村上春樹の目指した世界は、意識と無意識という人間の脳内にある二つの意識の具現化でしょう。

それをファンタジー世界として描いてしまう筆力は本当に素晴らしく、初期の村上作品の中でも屈指の傑作だと思います。さらに単なる空想上のファンタジーに終わることなく、それぞれのパートが寓話性を持っているのも、この小説が優れている所以です。

人々が欲望を隠そうとしない「ハードボイルドワンダーランド」と、心を持たず均一化された世界の「世界の終わり」の対比は、どこかこの小説が発行された80年代、冷戦時代の構図を思わせます。ファンタジー作品として魅力的なキャラクター、時代背景をも感じさせるような世界観が、難しいにもかかわらず何度も読ませてしまう作品の魅力になっています。

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