「楽園のカンヴァス」アンリ・ルソーを巡る美術系ミステリー小説【あらすじ・感想】

「楽園のカンヴァス」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「楽園のカンヴァス」を読んだきっかけ

「へたも絵のうち」と語っていた絵本作家の言葉が頭にこびりつていたある日、書店に立ち寄ると、中学の教科書に載っていた、見覚えのある絵を表紙に使った本が目にとまりました。

幼稚に見える絵を、なぜ表紙に使ったのか興味本位で手に取りました。

どんな小説?

本屋大賞や山本周五郎賞にも輝いた、アンリ・ルソーを巡る美術系ミステリー小説です。

ニューヨーク近代美術館の勤務経験のある作者、原田マハ。彼女が描くアンリ・ルソーの絵の魅力や、キャンバスにこめた思いを遺憾なく伝えています。

本の表紙にもなっている『夢』を発端として、新たに作品が発見されたとの設定でストーリーが展開され、その作品の真贋を見極めるために、二人の主役が奔走していきます。

幼稚な絵を描くアンリ・ルソーの見方も180度変わり、思わず作品を見たくなるそんな小説になっています。

あらすじ

一人目の主役、早川織絵43歳。大原美術館の監視員をしながら、母と16歳の娘、3人で平穏な暮らしをしているが、実は若い頃、パリ住在の美術研究者で、母親の住む岡山で、未婚のまま子供を産みに日本へ戻って来たのであった。

そんな中、全国紙大手の文化部が、日本でアンリ・ルソーの展示会を計画するに当たり、ニューヨーク近代美術館からルソーの代表作である『夢』を借りる話になる。

二人目の主役、ニューヨーク近代美術館のチーフ・キュレーターのティム・ブラウンは、絵の貸し出しについては、早川織江が交渉役にするなら考えても良いとの返答するのである。

突然舞い込んできた、思いがけない話に、戸惑う早川織江。一介の監視員の私にどうして?

時は1983年。ティム・ブラウンが若き日のニューヨークに舞台が変わる。当時の彼は、アシスタント・キュレーターになって5年目で年齢は30歳。雑用係がメインの下っ端であったが、突然大物コレクターからルソーの知られざる名品があるので、調査してほしいとの依頼が来る。

上司のトム・ブラウンと宛名を間違っているのではとの疑問もあったが、絶好の機会とばかりに、コレクターの待つスイスのバーゼルに飛び立つ。そこで大物コレクターから、もう一人の調査員を紹介されたのは、当時26歳の早川織江であった。

ソルボンヌで博士号を取得し、アンリ・ルソーの研究者であった。 二人が見せられた名品とは、ルソーの代表作『夢』と同じモチーフを描いた『夢をみた』 であった。これは真作か贋作かを調査してほしいとの依頼である。

コレクターから、今日から7日間でこの絵を調べ、真贋の判定結果を発表してほしいとのことであった。また、鑑定の材料として、7章から成る古書を、1日1章づつ読むことを求められる。 その代償として、勝者には『夢をみた』の取り扱い権利を与えるとの条件であった。

謎が謎を呼ぶ展開が次々起こっていきます。物語は1906年のパリから始まり、アンリ・ルソーの晩年に至るまで、まるで今見ているかのように綴られています。 「夢をみた」の真贋はいかに?ラストに感動が待ち受ける、はらはらドキドキの小説です。

読んだ感想

アンリ・ルソーは幼稚な絵を描く画家で、こんな絵でも有名になれるのだとズーと思っていました。

ところがこの小説を読めば、逆にアンリ・ルソーの情熱を感じることが出来なかった自分に恥ずかしく思ったくらいです。

この小説では、絵画に関する多くのうんちくや美術評論がありますが、全然難しくなく、すんなり理解できるように書かれています。小説の中ではピカソのことも触れていますが、読むだけで、アンリ・ルソーや、ピカソのことも、どんどん詳しくなり好きになってしまいました。

また、何を考えて絵を描いたのか?時代を超えて現代の人がどのように絵を見るのか? など違った視点で絵を見る必要性も学んだ気がします。とにかくアンリ・ルソーの心のこもった情熱には素晴らしいです。

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