大江健三郎おすすめ小説15選+2選【読書好き40人の声を集めました】

大江健三郎は、東京大学在学中に「死者の奢り」でデビュー。短編小説の「飼育」では戦後日本の閉塞感を描き芥川賞を受賞。

大江健三郎の作品は海外でも評価され、1994年にはノーベル文学賞を受賞した稀有な作家です。

今回、読書家にアンケートをとり、大江健三郎の作品のなかで一番好きな作品を選んでもらいました。感想とともに結果をお伝えします。

「個人的な体験」7票

わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々…。

狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか?暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。

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読者の声

大江健三郎の所説の中ではわかりやすいと思います。障害のあるお子さんを授かった方には、賛否両論あるかもしれませんが。(58歳 女性 パート・アルバイト)

脳ヘルニアという持病がある中で、子供を授かり難しい家庭生活をおくっていく主人公男性にリアルなドラマを見れえる作品で良かったです。(31歳 男性 会社員)

脳髄に障害のある愛児をめぐる父親の物語で、著者の自伝的小説ともいえる作品です。(50歳 女性 自営業)

他者の人生を生きるという経験に対する正直な感情が描かれていました。(48歳 女性 主婦・主夫)

障害児の親になりそのことを受け入れるという葛藤から、人生について深く考えさせられる。(43歳 女性 主婦・主夫)

大江健三郎の長男が脳瘤のある障害者で、その実体験をもとに長男の誕生後間もなく書いた作品です。(44歳 男性 自営業)

我が子の思い症状を小説家しているところが非常にリアリティーがあり、自分事として感じることができる。(47歳 男性 会社員)

「飼育」5票

死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。

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読者の声

周囲に知られてはいけないが、抱いてしまう高揚感と背徳感への実感。冷静な狂気と共に外界に放り出されるような感覚を味わえます。(50歳 女性 主婦・主夫)

戦争を通した外国人との触れ合いと、現実的国際社会の縮図について考えさせられます。(54歳 男性 自営業)

川端康成からも絶賛された初期の傑作。子供の視点を借りて人間の弱さ、生々しさが残酷に描かれている。(52歳 男性 無職)

子どもから大人になるまで人は何を学んでいくのか、何が人を大人にさせるのか。。その経過を子供の視点から見た、読みやすい短編作品です。(19歳 女性 学生)

飼育では捕虜になった黒人兵と村の少年の関係が生々しく、戦時中での異常な出来事が書かれています。少年を助けるために父親がとった行動は成長物語としての一面もあり、深い内容になっています。(62歳 男性 会社員)

「死者の奢り」5票

死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。

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読者の声

命の重さや尊さを大江さんなりに生々しく描いた小説です。読む価値があります。(39歳 女性 無職)

大江健三郎の初期作品ゆえに、彼の思想が本作品には色濃く反映されており、それを味わうべき。(25歳 男性 学生)

高校生の時に読みました。解剖用の死体を運ぶアルバイトをする主人公が、結局は無益な徒労でしかなかったという結末。作品内に漂っている哲学的な空気感が好きです。(35歳 女性 会社員)

病院のプールでホルマリン漬けとなった死体を管理するアルバイトという、いかにも都市伝説的な情景が舞台となっています。(46歳 男性 主婦・主夫)

解剖実習のために死体を処理するというアルバイトの設定が印象深く、色々と考えさせられます。短編なので、すぐに読み終えることができます。(56歳 男性 自営業)

「万延元年のフットボール」5票

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満たち登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。

幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長編。谷崎賞受賞。

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読者の声

ノーベル文学賞の受賞理由の一つに挙げられた作品で、1967年に書かれたとは思えない、現代社会を鋭く洞察した傑作です。(59歳 男性 自営業)

登場人物の鷹四が青年たちを訓練指導するためのフットボールチームを結成するシーンの描写がなんとも言えない。(49歳 男性 会社員)

波乱万丈なところから終盤に一気に畳み掛けてくるスピード感に引き込まれます。「希望」があることで人生がなんとかなる、変えられるのを感じれる点が好きです。(39歳 男性 自営業)

安保闘争に代表される当時の日本の政治的・社会的状況を反映した濃密な作品(56歳 男性 無職)

メタファー表現をくみ取って深い読み方もでき、また、単純に冒険小説としても面白い。(31歳 男性 自営業)

「静かな生活」2票

障害を持った兄との関係を通して、家族と社会、現代という時代、人間の未来に切実に対峙していく女子大生のマーちゃん。現実の困難さの向こう側に希望される、穏やかで静かな生活。現代人の魂の行方を人間の優しさとともに描く純文学連作小説。

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読者の声

イーヨーを中心に描かれる家族の毎日を淡々と描いているその空気感。(48歳 女性 無職)

妹想いの兄の優しさが、あたたかくて優しさに満ちているところが素敵です。(45歳 女性 自営業)

「性的人間」2票

性に耽溺し、政治に陶酔する右翼少年の肖像『セヴンティーン』。痴漢をテーマに“厳粛な綱渡り”という嵐のような詩を書こうとする少年と青年Jを主人公に、男色、乱交などあらゆる反社会的な性を描き、人間存在の真実に迫る問題作『性的人間』。現代社会の恐るべき孤独感を描いた『共同生活』。

政治的人間と性的人間との交錯に、60年安保闘争前後の状況を定着させた3編を収める。

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読者の声

筆者の性に関する興味が痴漢というテーマで厳かに綴られていてなる程と思いました。(45歳 女性 パート・アルバイト)

タイトルにインパクトがあるし、痴漢について考えさせられる作品なので好きです。(31歳 男性 パート・アルバイト)

「晩年様式集」1票

作家自身を思わせる主人公の長江古義人は、三・一一後の動揺が続くなか「晩年様式集」と題する文章を書きだす。妻、娘、妹の「三人の女たち」からの反論。未曾有の社会的危機と自らの老いへの苦悩。少なくなる時間のなかで次世代に送る謎めいた詩。震災後の厳しい現実から希望を見出す、著者「最後の小説」。

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読者の声

文学者って、「なぜ原発を嫌うのか」という疑問に気づかされた作品です。自分譚で語られるスタイルで、「なぜ」を語っていて、私は「そうか。」と理解しました。興味深いです。(43歳 男性 自営業)

「二百年の子供」1票

タイムマシンにのりこんだ三人の子供たちが、この国の過去と未来で出会う、悲しみと勇気、時をこえた友情。ノーベル賞作家がながい間、それもかつてなく楽しみに準備しての、ファンタジー・ノベル。

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読者の声

大江健三郎唯一のファンタジー小説。子供たちのキャラクターが魅力的。(32歳 女性 パート・アルバイト)

「新しい人よ眼ざめよ」1票

神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の“再生”を希求する。

新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。

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読者の声

大江健三郎の小説の中では比較的読みやすいものだと思います。イーヨーの言葉になぜか癒されてしまいます。(58歳 男性 自営業)

「取り替え子」1票

国際的な作家古義人の義兄で映画監督の吾良が自殺した。動機に不審を抱き鬱々と暮らす古義人は悲哀から逃れるようにドイツへ発つが、そこで偶然吾良の死の手掛かりを得、徐々に真実が立ち現れる。ヤクザの襲撃、性的遍歴、半世紀前の四国での衝撃的な事件…大きな喪失を新生の希望へと繋ぐ、感動の長篇。

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読者の声

作者の数ある作品の中でも、その複雑さが読む側を魅了します。(42歳 女性 無職)

「芽むしり仔撃ち」1票

絶望的な”閉ざされた”状況にあって、疎外された少年たちが築き上げる奇妙な連帯感。知的な抒情と劇的な展開に、監禁された状況下の人間存在という戦後的主題を鮮やかに定着させた長編。ノーベル賞を受賞した大江健三郎の処女長編。

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読者の声

ある村で発生した疫病にかかった子供達の一週間を描いている。今読むとおもしろい。(50歳 女性 主婦・主夫)

「みずから我が涙をぬぐいたまう日」1票

天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう一人の作家が魂の奥底までを支配する〈天皇制〉の枷をうち破って想像力駆使して放つ“狂気を孕む同時代史”の表題作。

宇宙船基地よりの逃走男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」。―全く異なる二つの文体により、現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説二篇。

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読者の声

天皇制について書かれた作品です。令和になり、天皇の在り方も戦時中とは変わっていますが、現人神だった天皇について考えさせらる作品です。(42歳 女性 会社員)

「ピンチランナー調書」1票

地球の危機を救うべく「宇宙?」から派遣されたピンチランナー二人組!「ブリキマン」の核ジャックによる民衆の核武装?…。内ゲバ殺人から右翼大物パトロンの暗躍までを、何もかもを笑いのめし、価値を転倒させる道化の手法を用いて描き、読者に再生への希望と大笑いをもたらす。

死を押しつけてくる巨大なものに立向い、核時代の「終末」を拒絶する諷刺と哄笑の痛快純文学長編である。

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読者の声

天皇制など様々な問題をSFかつ喜劇調にし、徹底的に茶化す姿勢がいかにも大江健三郎らしいなと感じました。(48歳 男性 パート・アルバイト)

「「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち」1票

危機にある男たちを受け入れ、励ます女たち。若者を性の暴力にむけて挑発しながら、いったん犯罪がおこると、優しい受苦の死をとげて相手をかばう娘。かれらをおおう「雨の木(レイン・ツリー)」のイメージは、荒涼たる人間世界への再生の合図である……。

宇宙の木でもあれば、現実の木でもある「雨の木(レイン・ツリー)」のイメージにかさねて、人の生き死にを見つめた、著者会心の連作小説集。読売文学賞受賞作。

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読者の声

葉のまるい窪みに雨水をため、雨がやんだあとも しばらく雫を滴らせるレインツリー。この木を生 命の暗喩として使い、命や性のあるがままの姿を 著者と同じ境遇の小説家の目を通して語る連絡短編小説。(27歳 女性 会社員)

「燃えあがる緑の木」1票

百年近く生きたお祖母ちゃんの死とともに、その魂を受け継ぎ「救い主」と見なされた新しいギー兄さん。だが彼の癒しの業は人々から偽物と糾弾される。今は女性として生きる両性具有のサッチャンは彼を支え、その一部始終を書き綴って行く…。

構想六年、一人の「救い主」の運命に託して人間の魂の問題を探る、著者が「締めくくりの小説」と呼ぶ長編三部作、遂にスタート。

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読者の声

敷居が高い感じがする大江作品だが、他作品に比べ淀みがなく読みやすいものとなっているように感じる。(48歳 男性 会社員)

小説ではなくエッセイや新書です。

「ヒロシマ・ノート」4票

広島の悲劇は過去のものではない。一九六三年夏、現地を訪れた著者の見たものは、十数年後のある日突如として死の宣告をうける被爆者たちの“悲惨と威厳”に満ちた姿であり医師たちの献身であった。著者と広島とのかかわりは深まり、その報告は人々の胸を打つ。平和の思想の人間的基盤を明らかにし、現代という時代に対決する告発の書。

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読者の声

原爆の恐ろしさをその当時、現地で治療にあたった医師の話を交えてとてもリアルに描いているノンフィクション小説です。(47歳 男性 自営業)

原子爆弾によって被害を受けた人々のノンフィクション。アメリカ・日本それぞれの立場からの表現で、過去の戦争というものを考える作品となります。(52歳 男性 会社員)

いまだに苦しんでいる人がいるという事実をストレートに表現している作品。毎年夏に読み返したいと感じる作品です。(46歳 男性 会社員)

高校生の頃読んだ記憶があります。核兵器の廃絶について、筆者が広島を取材した体験を元に延べられており、深く考えさせられます。(48歳 男性 会社員)

「「自分の木」の下で」1票

なぜ子供は学校に行かなくてはいけない?子供たちの素朴な疑問に、ノーベル賞作家はやさしく、深く、思い出もこめて答える。16のメッセージと32点のカラーイラストが美しくひびきあい、心にとどまる感動のエッセイ。「子供も『難しい言葉』を自分のものにする」を新たに加えた待望の文庫版登場。

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読者の声

自閉症の実の息子の話が書いてあり、息子への愛情がかんじられました(30歳 女性 会社員)

まとめ

いかがでしたでしょうか。大江健三郎のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

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