「君と夏が、鉄塔の上」中学3年の夏休みを舞台にした青春と鉄塔の物語

「君と夏が、鉄塔の上」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「君と夏が、鉄塔の上」を読んだきっかけ

電子書籍サイトで見かけた時にタイトルの語感の良さ、帯に書かれている「地上50mに見つけた僕らの明日」という爽やかなキャッチコピー惹かれ興味を持ちました。

また、表紙も住宅街の中の鉄塔が青空の中に佇んでいるノスタルジーを感じるもので魅力的でした。青春鉄塔小説と紹介されており、青春と鉄塔が物語にどういう形で関わっているのかが気になり購読しました。

どんな小説?

中学3年の夏休みを舞台にした青春小説です。鉄塔に出る幽霊を調査するというストーリーを中心に鉄塔マニア、建設現場マニア、破天荒少女、幽霊が見える元優等生といった個性のあるキャラクターたちの人間模様がイキイキと描かれています。

展開のテンポが良く、登場人物に感情移入しやすいためスラスラと読めます。ノスタルジーを感じつつ、爽やかだけど切ないそんな気持ちになる一冊です。

あらすじ

中学3年の夏休み、鉄塔マニアの伊達、破天荒な女の子の帆月、幽霊が見えると噂されている比奈山の3人で、鉄塔の上に見える男の子の幽霊の正体を解き明かそうとする青春鉄塔小説です。「鉄塔の上に男の子が座っている」と帆月から声をかけられ、半ば強制的に調査に参加させられる伊達、比奈山。

それぞれが悩みや不安を抱えつつも幽霊調査に徐々に熱中していきます。また、帆月の野望である自転車で空を飛ぶプロジェクトにも巻き込まれ、この計画が後に物語に大きく関わってきます。そして幽霊調査は急展開を見せ、思いもよらない方向へと進んでいきます。

夏休みというありふれた日常と鉄塔の上の幽霊という非日常の中でイキイキとキャラクター達が描かれており、爽やかで切ない青春鉄塔小説です。

読んだ感想

思春期特有の無鉄砲さと臆病さがごちゃ混ぜになった感情が良く描かれていて、登場人物に懐かしさを感じたり、自身の青春時代を思い出し悶々としたりしながら読み進めました。

中学生の夏休みという日常の描写と鉄塔の上の幽霊という非日常の描写のバランスが良く、一気に読んでしまいました。物語の中で帆月は、思い出を忘れたくないし、忘れられたくないという信念で毎日を必死に生きていて、子供の頃の何気ない1日にかけていた熱量を思い出し微笑ましく思うとともに今の自身も日常を大切に過ごさなければと考えさせられました。

また、伊達が帆月に好意を抱きつつも、自分に自信が無く卑屈になっている場面ではすごく共感をしつつも、傍から見るとこんなにも恥ずかしいものなんだなと思い心の中で苦笑いしていました。そして最後には切ないけれど爽やかな結末に感動しました。

作中には鉄塔、建設現場とマニアックなマニアが登場します。それらの日常の中でよく目にする何気ない風景が魅力的に描写されており感心しました。特に鉄塔にまつわる描写が細かく書かれており、あとがきには鉄塔への著者の思いが綴られていて、著者の鉄塔愛が伺えます。

殆どの人の記憶にも残らないが生活の根底を支えている鉄塔という存在が可愛らしく、儚く思えてきて、今度の休みには近くにある鉄塔を探しに行ってみようかと思います。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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