「ガリバー旅行記】意外に知られていない第3章、第4章【あらすじ・感想】

「ガリバー旅行記」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「ガリバー旅行記」を読んだきっかけ

日本ではガリバー旅行記というと「子供の読物」という感じが強いです。しかし海外ではガリバー旅行記は「一級の文学作品」として認められている、という事実を知りました。

また著者のジョナサン・スイフトの奴婢訓という不思議で面白いエッセイ? のような物を前に読んでいたので、この人の書くものなら面白いに違いない、と思ったのです。

そして、それはまさにばっちりでした。文学が好きならば、この本を読まずして文学を語るなかれ、と言いたいです。

どんな小説?

ガリバー船長が色々な国を訪問して、その国のことを語る形式です。著者のジョナサン・スイフトは強い風刺小説を書くので有名な人です。

このガリバー旅行記も最初の原稿を見て民衆の怒りを買うことを恐れた出版元が大幅な改変を施して出版されています。

内容は全部で4章。1章は小人国、2章は大人国、3章はラピュタ国、4章は馬の国。子供向け本に乗るのは1章と2章だけで、大抵の方はそれでガリバー旅行記を読んだつもりになっていますが、この本の神髄は3章と4章にあります。そこで主に3章について述べます。4章についても少し述べます。

あらすじ

3章ラピュタ国訪問記 ジブリの映画で有名になったラピュタですが原作でも「天空の地」になっています。ラピュタ国の上流階級の人々は全員が科学者で思索的で始終、物思いにふけっています。

ですので必要な時には従者がブタの膀胱で作った風船のようなものを棒に付け、それでご主人の頭をポンポンと叩くのです。そうしないとご主人様は気が付いてくれないのです。また音楽を愛しており、思索と音楽と科学にしか興味を示しません。

ですのでガリバー船長の話し相手にはなってくれないのです。しかし一人だけ例外の紳士がおり、彼は「普通の人」なのでガリバー船長の話相手になってくれラピュタ国と周辺国を案内してくれるのです。

第3章の正式なタイトルは「ラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本の訪問記」となっており、4つの章の中でも一番、雑多な内容の章ですが最も面白い章でもあります。バルニバービ国はラピュタ国に支配されている地上の国で、元々は肥沃な土地で農業が盛んでした。

そこへ数人の「科学者」と称するグループが現れ「もっと合理的にしよう」と色々な改革を行います。

例えば「水というのは上から下へ流れる性質を持っている。従って畑に水を引くのは高いところから流した方が良い。高い所なら風の力も働くので、より良いではないか」という訳で高い所に水の入り口を作ります。

しかし、それでは水は畑に入ってこず畑は全て枯れてしまいます。こんな具合に彼らの行った改革は全てダメでバルニバービ国は荒廃した状態になっています。

また「糞尿から食物を取り出す研究」など、さまざまな研究が行われていますが全く成果を出していないという状態でもあります。またストラルドブラグという「不死の人間」が登場します。

この部分も「死とはなにか」を考えさせられる非常に意味深長で読みがいのある内容になっています。4章馬の国 この章は、あえて説明をしません。是非、読んで下さい。スイフトの思いが強く伝わってくる部分です、なお4章では後に有名になる「ある言葉」が世界で初めて登場します。

読んだ感想

スイフトは3章で人間と科学の関係について「実用性がなければ意味が無い」と批判しているのですが、不思議ななことに3章に登場する色々な「意味のなさそうな研究」は全て現代科学で実現されつつあります。

多くの科学者が、この第3章からヒントを得たと言っているくらいですが、スイフトには予言能力でもあったのでしょうか?と疑いたくなる部分でもあります。私はこれは偶然ではないと思っています。

芥川龍之介が「私はスイフトほど頭の良い人間にうまれなかったことを密かに幸運だと思っている」と侏儒の言葉で述べている位にスイフトは頭の良い人だったのです。わざとヒントを書いておいたのではないか?と思っています。

またスイフトの命名センスというのは凄いもので、この物語に出て来る全ての名前はスイフトの創作ですが「妙にぴったり」なのです。また名前の中には、いわゆるアナグラムという言葉遊びが行われていると言われています。

つまり文字の順番を変えると別の意味になるのです。これも多分、意図してやったことでしょう。この稀代の傑出した人物だったらしいスイフトの代表作であるガリバー旅行記を読まないのは読書家として失格である、とさえ言いたいくらいです。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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