「瓶詰の地獄」瓶に入った手紙の内容に惹き込まれる小説【あらすじ・感想】

「瓶詰の地獄」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「瓶詰の地獄」を読んだきっかけ

私が「瓶詰の地獄」を読んだきっかけは、片山ユキヲ作の漫画「花もて語れ」です。私は朗読がテーマのこの作品を愛読していたのですが、その中に瓶詰の地獄が登場し、ストーリーに衝撃を受けて小説を購入するに至りました。

ちょうど小説を購入しようと決意したときがカドフェス2014のタイミングで、瓶詰の地獄を表題作とした特別な表紙の文庫本が登場していたことも、私には運命的に思えました。

「瓶詰の地獄」はどんな小説?

「瓶詰の地獄」は、夢野久作による短編小説です。夢野久作といえば「ドグラ・マグラ」が有名ですが、この作品も夢野久作作品の中では比較的認知度が高い作品といえます。

一度、改稿にともなってタイトルが変わっており、収録されている書籍によってタイトルが「瓶詰地獄」「瓶詰の地獄」と表記がバラけているのはそのためです。

「瓶詰の地獄」のあらすじ・ストーリー

この作品は最初、とある海洋研究所の職員の視点から始まります。彼(あるいは彼女)のもとに、海岸に漂着したという手紙入りの瓶が3つ届いたのです。

読み手によって開かれる手紙の順番と、手紙の内容の時系列が逆転しているのが本作の特徴で、第一の瓶の内容が最後に、第三の瓶の内容が最初に書かれた手紙になっています。

第一の瓶には、自分たちがいる孤島に救いの船が来たことを確認した兄妹が、それを苦に自殺を決意するといった内容が記されています。なぜ、救いの船が来たことに絶望するのか?といった点は、この時点ではまったく分かりません。

第二の瓶は、この作品のメインになってきます。そこには、兄妹がいかにして無人島に漂着したか、そしていかにして生き延びてきたかが順を追って記されています。そして、実の兄妹同士でお互いを愛するようになってしまい、その罪深さに苛まれ、今や生き地獄に苦しむ羽目になっていることも。

第三の瓶には、おそらく兄妹が孤島に漂着して間もないころに書かれた手紙が入っています。子供らしく拙い文体で、自分たちは達者にやっているから、早く助けに来てほしい、と記されています。

「瓶詰の地獄」を読んだ感想

たった20ページほどの短編小説なのに、この作品には天国と地獄がみっちりと詰まっています。漂着してしばらくの楽園のような生活に安心すればするほど、後半の彼らの苦悩に圧し潰されそうになります。

「この美しい、美しい島はもうスッカリ地獄です。」の一文が頭に焼き付いて離れません。

しかし、この作品にはさまざまな疑問点もあります。バラバラの時期に海に投げた3つの瓶が、こうもうまく1か所の浜辺に(それも同時期に)漂着するものなのか?という点。それに、最初の手紙では拙い文章しか書けなかった子供が、手元にある聖書だけで、こうも達者な文章を書けるようになるのか?等…。

読み込めば読み込むほど謎が深まる、非常に魅力的で興味深い作品です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

夢野久作の小説「瓶詰の地獄」と、ホノジロ トヲジのイラストのコラボレーション作品もあります。小説としても画集としても楽しめる一冊です。

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