高村 薫おすすめ小説12選【読書好き37人の声を集めました】

今回、読書家にアンケートをとり、高村 薫の作品のなかで一番好きな作品を選んでもらいました。投票が多かった作品順で感想とともに結果をお伝えします。

「レディ・ジョーカー」9票

空虚な日常、目を凝らせど見えぬ未来。五人の男は競馬場へと吹き寄せられた。未曾有の犯罪の前奏曲が響く―。その夜、合田警部補は日之出ビール社長・城山の誘拐を知る。

彼の一報により、警視庁という名の冷たい機械が動き始めた。事件に昏い興奮を覚えた新聞記者たち。巨大企業は闇に浸食されているのだ。

ジャンルを超え屹立する、唯一無二の長篇小説。毎日出版文化賞受賞作。

「BOOK」データベース

読者の声

犯罪という共同作業に手を染める人たちの様々な人生のバックボーンが面白いと思います。犯人たちが社会では必要とされていないという自我の爆発が凄まじいと思いました。(58歳 男性 会社員)

読了時には「すごいものを読んだ!」という達成感のようなものがありました。大企業・新聞社・警察・反社会勢力をめぐる緻密な構成で、登場人物それぞれの考え方・矜持が行動を通じて描かれており、物語に没頭できました。著者らしい現実を踏まえた結末で、読む人それぞれで受け取るものが変わるかもしれません。(54歳 女性 会社員)

「レディ・ジョーカー」と名乗る5人の犯人は、競馬場で知り合い親しくなった男たち。それぞれ異なった心境と理由で犯行に参画し、最大手のビール会社社長を誘拐する。社会的強者と弱者の葛藤、理不尽な差別の問題、裏社会の不気味な存在をも描く作品です。(44歳 男性 自営業)

レディ・ジョーカーのメンバーそれぞれの事情やイメージを守りたい企業、追う警察が入り乱れて面白い。(43歳 女性 主婦・主夫)

日本社会のタブーを扱った作品。ジョカーを引いてしまった人間が計画した社会への復讐劇。(45歳 男性 無職)

登場人物が多く、話しが複雑ですがそれだけに読みごたえがあります。(45歳 女性 パート・アルバイト)

広い意味で警察小説の枠を越えた日本の縮図というものを克明に描写した傑作です。(50歳 女性 自営業)

犯罪はもちろん悪いことだけれど、その理由を知ることで、表面的なものだけではなく色々と考えさせられる作品です。(35歳 女性 自営業)

グリコ・森永事件を題材にした内容ですが、登場人物のキャラクターが面白く、また社会問題として考えさせられる作品になっている作品です。(62歳 男性 会社員)

「マークスの山」9票

「マークスさ。先生たちの大事なマ、ア、ク、ス!」。

あの日、彼の心に一粒の種が播かれた。それは運命の名を得、枝を茂らせてゆく。南アルプスで発見された白骨死体。三年後に東京で発生した、アウトローと検事の連続殺人。“殺せ、殺せ”。都会の片隅で恋人と暮らす青年の裡には、もうひとりの男が潜んでいた。

警視庁捜査一課・合田雄一郎警部補の眼前に立ちふさがる、黒一色の山。

「BOOK」データベース

読者の声

重厚感のある作品ですがお話自体は分かりやすく、高村薫初心者におすすめの作品だと思います。(56歳 男性 自営業)

山を純粋に愛していた学生時代から少しずつ歪み出す人生の矛盾。取り返しのつかない現実に翻弄されるかつての山男たちの葛藤が重く心に響く。(48歳 男性 会社員)

出だしの緊迫感や重厚さにグングン引き込まれていくので、続きが読みたくなります!(46歳 女性 主婦・主夫)

連続殺人事件を追う刑事の姿を通して描かれる警察内部の闇の重厚な表現。(56歳 男性 無職)

警察組織の内部を描いた超ド級のエンターテインメント作品で、特に人物描写が優れた小説です。(59歳 男性 自営業)

推理小説が好きなので久しぶりに本格的な小説が出たと夢中になりました。(48歳 女性 無職)

刑事ドラマとしてだけじゃなく人間ドラマとしても読み応えのある作品になっています。映画版ドラマ版、両方おススメです。(45歳 女性 自営業)

上下巻と長めで内容が濃く読み応えがあります。上巻はやや難解と言うか理解しがたい、共感できない思いがありましたが、読み進める内にどんどん引き込まれていくのは高村薫の上手さだと思います。最後の謎解き?部分で良くも悪くもウムム…となりました。警察組織を丁寧に描いているので警察小説が好きな人におすすめです(42歳 女性 会社員)

30年近く前、出版されてすぐに読み、数年に1回読み返すほど今も忘れられない物語です。分厚い小説を読みながら内容の濃さに映像が目に浮かぶようで、どっぷりと緻密な刑事物に浸れるところが大好きです。(51歳 女性 主婦・主夫)

「李歐」5票

惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。

しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。

「BOOK」データベース

読者の声

殺し屋と普通の男が人生を重ねていく描写が素晴らしい作品です。(50歳 女性 自営業)

李歐と一彰の関係性がたまりません……! 本を読みながら映像がぶわっと目の前に広がる文章力がさすがです。地の分は固いのに台詞のひとつひとつが詩的で印象に残ります。(32歳 女性 主婦・主夫)

殺し屋李歐と吉田一彰との出会いから始まる物語です。平凡に堅実に生きる一彰の人生の描写が好きでした。そして平凡なだけではいられない運命も見どころです。(58歳 女性 主婦・主夫)

殺し屋と普通の男が友情でもあり愛でもある絆で結ばれている姿はとてもかっこいいです。(40歳 男性 パート・アルバイト)

そこはかとなく漂う、男同士の友情を越えた親愛に胸がかきむしられました。李歐がとにかく強くて色っぽくて美しいです!!(32歳 女性 主婦・主夫)

「黄金を抱いて翔べ」3票

銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ。大阪の街でしたたかに生きる6人の男たちが企んだ、大胆不敵な金塊強奪計画。

ハイテクを駆使した鉄壁の防御システムは、果して突破可能か?変電所が炎に包まれ、制御室は爆破され、世紀の奪取作戦の火蓋が切って落とされた。

圧倒的な迫力と正確無比なディテイルで絶賛を浴びた著者のデビュー作。日本推理サスペンス大賞受賞。

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読者の声

金塊を強奪しようとするキャラクターたちの緻密な計画性が見事だと思います。専門性も高く爆発物や道具に関して詳しくなれる点も良いです。(29歳 男性 無職)

作品序盤の描写が長く書かれていてしっかりと作品に入り込むことができます。独特の世界観で、ハマる人はとことんハマると感じます。(46歳 男性 会社員)

様々な過去を持つ男たちが巨額の金塊奪取に挑む姿がスリリングでした(48歳 男性 パート・アルバイト)

「冷血」2票

クリスマスイヴの朝、午前九時。歯科医一家殺害の第一報。警視庁捜査一課の合田雄一郎は、北区の現場に臨場する。容疑者として浮上してきたのは、井上克美と戸田吉生。彼らは一体何者なのか。その関係性とは?

高梨亨、優子、歩、渉―なぜ、罪なき四人は生を奪われなければならなかったのか。社会の暗渠を流れる中で軌跡を交え、罪を重ねた男ふたり。合田は新たなる荒野に足を踏み入れる。

「BOOK」データベース

読者の声

クリスマスの前夜に歯科医師一家が惨殺される事件が舞台。生と死をテーマにした読み応えのある小説です。(52歳 男性 会社員)

事件に関して加害者が何を思い卑劣な行為に及んだのかを深く考えさせられました。(44歳 男性 会社員)

「照柿」2票

異質さゆえ、互いから目を逸らせぬまま成長した幼馴染は、それぞれの足で大阪から東京へと辿りついた。八月二日夕刻、合田雄一郎警部補は電車から女性の飛び込みを目撃する。

現場より立ち去ろうとしていた佐野美保子との一瞬の邂逅。欲望に身を熱くした。旧友野田達夫との再会は目前に迫っていた。合田、野田、美保子、三人の運命が、溶鉱炉の如き臙脂色の炎熱の中で溶け合ってゆく。

「BOOK」データベース

読者の声

追い詰められた男女の行く末に胸が締め付けられるような思いがしました。(45歳 女性 自営業)

ミステリーですが、男女間のもつれもテーマの一つで、他の高村作品とは少し雰囲気が違います。1人の女性に惹かれたことで、男性たちが少しずつ堕ちていく過程は圧巻です。現代の「罪と罰」と言われていますが、ドストエフスキーの「罪と罰」以上に、人が犯してしまう「罪」を考えさせられました。(55歳 女性 パート・アルバイト)

「わが手に拳銃を」2票

それは一発の銃声から始まった。15年前、大阪の町工場で母を撃った男はどこに?吉田一彰はその男・趙文礼をさがしていた。公安の田丸もまた趙を追っていた。

ある夜、キタのクラブに現われた趙に中国語の電話がかかり、直後銃声が轟いた。そして、その時から一彰は、裏社会に生きる男たちの非情な闘いにのめりこんでゆく…。

「BOOK」データベース

読者の声

拳銃に絡んだハードボイルドタッチに一直線な怒涛の展開も秀逸。(48歳 女性 主婦・主夫)

裏社会の真相が分かる内容だったので、現実社会はどれほど荒れているか分かってきます。(52歳 男性 会社員)

「太陽を曳く馬」1票

福澤彰之の息子・秋道は画家になり、赤い色面一つに行き着いて人を殺した。一方、一人の僧侶が謎の死を遂げ、合田雄一郎は21世紀の理由なき生死の淵に立つ。―人はなぜ描き、なぜ殺すのか。9.11の夜、合田雄一郎の彷徨が始まる。

「BOOK」データベース

読者の声

殺人に対して、それぞれのケースで抱える人間の悩み、葛藤がよく描いている(47歳 男性 会社員)

「晴子情歌」1票

遙かな洋上にいる息子彰之へ届けられた母からの長大な手紙。そこには彼の知らぬ、瑞々しい少女が息づいていた。

本郷の下宿屋に生まれ、数奇な縁により青森で三百年続く政と商の家に嫁いだ晴子の人生は、近代日本の歩みそのものであり、彰之の祖父の文弱な純粋さと旧家の淫蕩な血を相剋させながらの生もまた、余人にはない色彩を帯びている。

本邦に並ぶものなき、圧倒的な物語世界。

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読者の声

母と名乗る人物からの手紙を受け取った息子が、母が歩んできた人生とどう向き合っていくのおか、ミステリーではありませんがミステリアスな要素を含んだ作品です。(19歳 女性 学生)

「神の火」1票

神から掠めとった炎の砦・原発に男たちは徒手空拳で襲いかかった…。荒波に洗われる日本海の、とある断崖にそれはあった。白いコンクリートの巨大な塔で燃えさかるプロメテウスの火。

鉄壁の防護システムで制御された火焔を消し去ることが、彼ら二人の目的だった…。旧作を根本的に改稿した文庫版に基づく、高村サスペンス初期の代表作。

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読者の声

原発テロを仕掛ける男たちを描いたサスペンス。緊迫感のある展開に思わず引き込まれました。普段は公開されていない原発の内部描写も見事です。(60歳 男性 自営業)

「四人組がいた。」1票

車もめったに通らぬ山奥の寒村。いつも郵便局兼集会所に集まるのは元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母さんの老人四人組。

一見、退屈極まりない村だが、怪しげな気球アーティストや保険外交員の娘に始まり、果てはタヌキほか動物たちがやってきては騒動を巻き起こす。「日本の田舎」から今を描く、痛烈なブラックユーモア小説。

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読者の声

高村薫さんの王道から一見外れた作品で、四人組に躍らされる人間の滑稽みが見所です。世間への冷ややかな眼差しが変わらないところは流石の一言でした。(32歳 女性 自営業)

「我らが少女A」1票

一人の少女がいた―合田雄一郎、痛恨の未解決事件。動き出す時間が世界の姿を変えていく。人びとの記憶の片々が織りなす物語の結晶。

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読者の声

この作品は、作者が久々に出版したのが話題になれば、そのミステリーをとても楽しめる内容です。(42歳 女性 無職)

まとめ

いかがでしたでしょうか。高村 薫のおすすめ小説を紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

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