幸田文おすすめ作品ランキング9選【読書好き43人の声を集めました】

幸田文は、1904年に幸田露伴の次女として生まれました。結婚、出産、離婚を経て、執筆活動を始めます。露伴との思いでを中心にした作品「終焉」・「父」などを発表。1956年には長編小説「流れる」で第3回新潮社文学賞を受賞しました。

今回は、読書好き38人におすすめ作品を1冊選んでもらい、その感想をまとめました。結果をランキング形式で紹介します。

1位「流れる」9票

梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る…。

華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。花柳界に力強く生きる女性たちを活写した幸田文学を代表する傑作。日本芸術院賞、新潮社文学賞受賞。

「BOOK」データベース

読者の声

数人の個性ある女性が思い思いにとる行動と心理を余すところなく細かく散りばめられている一冊。(29歳 男性 会社員)

芸者置屋の実態、そこに生きる芸者たちの生態が堅気の女性の眼でクールかつ鮮やかに描かれていて、興味深かった。(66歳 女性 主婦(主夫))

花柳界の人々を決してデフォルメも美化もせず淡々と描き切る筆力。タイトル通り笹船のように日々に流されていく儚さが全編を包んでいます。(31歳 女性 会社員)

男性に頼ることなくしたたかに生きていく女性の生き様が描かれているところ。江戸弁がきれい。(53歳 女性 自営業)

女中である梨花の目線を通して、芸者置家の世界をユーモラスにシニカルに描いている。(45歳 女性 自営業)

教養があり、気性もしっかりしている40歳過ぎの未亡人が芸者の置屋の女中と言う設定で、その目を通して花柳界の裏側を詩情豊かに丁寧に描いている秀作です。(71歳 男性 無職)

女中として未亡人である彼女が見た、感覚的描写を超えた、現実的な繊細な感覚をどうとらえるか。(53歳 男性 会社員)

昔の女子の世界が垣間見える雰囲気が好きです。芸者さんに憧れます。(37歳 女性 会社員)

時代設定だけでなく、それが置屋。華々しい世界の裏側を舞台にし、さらには栄光が過去になった女が、過去になりそうな場所に腰を据える。ほの暗いそれに惹かれる人は多いと思う。(21歳 女性 学生)

1位「台所のおと」9票

女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角だつな。さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変ったことに気付く…音に絡み合う女と男の心の綾を小気味よく描く表題作。他「雪もち」「食欲」「祝辞」など十編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す幸田文の世界。

「BOOK」データベース

読者の声

台所で妻が料理を作る音を聴いて、病気を持つ夫がどう思っているのかを表現した内容です。音とともに映像も浮かんでくる文体で読みやすく奥深いのでぐっと引き込まれてしまう。(62歳 男性 会社員)

話の軸に「台所から聞こえる音」という存在があり、その音を通して死生観を整えていく姿が切なくもあり、自然と登場人物に対しての愛情が芽生えてくるところが好きです。(20歳 女性 学生)

昭和の時代の女性たちの姿にどこか見習いたくなる気持ちになります。妻となり母となった今だからこそ感じるものもあり、これからも何度も読み返したいと感じました。(29歳 女性 主婦(主夫))

日常にある「おと」から主人公たちの生活を感じさせるところに、主人公たちの感情が伝わるところです。いわゆる「気配を感じる」ことなのだとおもいます。(32歳 女性 自営業)

今で言う「丁寧な暮らし」という言葉を安易にに使いたくなるけれど、丁寧と言うよりもっと自分を律するような、きちんと生きる、まっとうに生きる、といったことを考えさせられる本です。ごくごく日常の題材なのに、観察眼が鋭くて、生活の気配が感じられる描写も素敵です。(46歳 女性 会社員)

「台所の炊事するときの音」に注目した作品で昭和の女性の日常の様子が読んでいて共感できる作品だと思います。(44歳 男性 会社員)

表題作「台所のおと」は一昔前の女性から学ぶ背筋の伸びた生き方を、「祝辞」は夫婦関係の在り方を学べる。(42歳 女性 会社員)

料理屋を営んでいる夫婦の物語。今まで平穏に連れ添ってきた夫婦の間に突然起きた死に対する葛藤を描いているところ。(52歳 男性 会社員)

昭和の時代を感じられて短編集のため読みやすかったです。時代が変わったなって思わせてくれる作品です。(40歳 男性 会社員)

1位「おとうと」9票

高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。

「BOOK」データベース

読者の声

結核にかかった弟の看病を姉が行う経緯が、非常にリリカルで、姉弟愛の描写に少し恋愛を感じるような切なさを伴う点です。(47歳 女性 自営業)

厳しい時代の姉と弟の愛。心の動きが感じられる厳しい時代を背景にした小説。(47歳 男性 会社員)

幸田文の小説で、初めて読んだものがこれでした。文章のみずみずしさ、なくなった弟さんへの深い愛情に感動しました。(58歳 女性 パート・アルバイト)

色々不幸が重なる中での人間模様が素晴らしい。ラストが今すぐにでも読みたくなり関東大震災が起きてからは一気読みしました。(27歳 男性 会社員)

時代は違っても親・兄弟との関係に悩んだりするのは変わらないのものなのだと思わせてくれる深い作品です。(43歳 女性 主婦(主夫))

家族に悩まされながらも、家族に愛情をかける主人公の切ない物語です。(61歳 女性 無職)

美しくすっきりした文体で読みやすいです。貧乏、家庭不和、病気と人の世の悲しみが続く内容となっていますが、その中にあっても歯を食いしばるように頑張っている(頑張るしかない)げんの姿に胸が締め付けられます。(43歳 女性 パート・アルバイト)

姉の弟を想う健気な姿に涙が出ます。辛くて悲しいけれど、どこか熱い物を感じられる作品です。(37歳 女性 会社員)

幸田文独特の筆致で、家族、身の回りのことを書いています。魅力ある作品です。幸田文は大好きな作家のひとりです。(62歳 男性 パート・アルバイト)

2位「きもの」6票

明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。

「BOOK」データベース

読者の声

着物のこだわりが強いるつ子のひたむきなのにままならない人生は、共感したり時代を感じたり奥深い。(35歳 女性 自営業)

着物が好きなので共感できました。働く女性は人生観に共感できる作品です。(50歳 女性 会社員)

主人公の幼い頃からのこだわりやそれに寄り添う祖母の愛情が読んでいて引き込まれる。(31歳 女性 無職)

女性にしかわからない着物を着た肌感覚が見事に描写されている作品です。現代の洋服にはない感覚が描かれていて、着るものについて考えさせられる作品です。(43歳 男性 自営業)

色んな着物が出てきて想像力を掻き立てられ、主人公と同じ時代に生きているような気持ちになれます。(19歳 女性 パート・アルバイト)

家族メンバーを中心に、キャラクターの造形が非常に濃く面白いです。(39歳 女性 主婦(主夫))

3位「木」4票

「樹木に逢い、樹木から感動をもらいたいと願って」北は北海道、南は屋久島まで、歴訪した木々との交流の記。木の運命、木の生命に限りない思いを馳せる著者の眼は、木をやさしく見つめ、その本質のなかに人間の業、生死の究極のかたちまでを見る。生命の根源に迫るエッセイ。

「BOOK」データベース

読者の声

父幸田露伴の言葉を通じて、教育とは何か、どう親であるべきかを再度問われる(25歳 男性 学生)

教科書で、「倒木の更新」というエッセイを読んでから、幸田文の自然の描写がすごく好きになったから(32歳 女性 自営業)

著者が実際に足を運んで感じた木の素晴らしさを鮮明に感じられます。(21歳 女性 学生)

晩年の幸田さんがさまざまな木の姿に触れながら人生の在り方を澄んだ目で見つめているとことがとても良い。文章に凛とした芯と溢れるような慈しみがあり、読んでいるだけでやさしい気持ちになることができる。(41歳 男性 会社員)

4位「闘」2票

東京近郊の結核病棟の四季を通して、病苦にふみあらされた人間の<生>と<死>の凄絶なせめぎあいを、繊細な眼と鋭い感性で見据え、美しい日本語で描いた長編小説—闘病歴10年、病院の大将といわれる38歳の男性、治っても社会復帰できないと考えてしまう少年少女、語学の研究にはげむ青年などの入院患者と、<生>への奉仕者である医師、看護婦たちとの人間関係を見事に捉える。

「BOOK」データベース

読者の声

結核療養病院の中の様子、人間模様を通じ痛みや苦しみ病というものに向き合う重みが心に残った。(48歳 女性 主婦(主夫))

読み終わった後、生にしがみつこうと思える作品です。医療が発達した現代に生きる幸運。健康の有り難さが再確認できます。昔の作品ですが文体が大変読み易いです。(27歳 男性 会社員)

4位「季節のかたみ」2票

今朝の雲はもう居ません。その代り風が訪れてくれます。季節の移り変りを見るのが、私は好きです。なにより有難いのは前向きの心でいられることでしょうか。時の移ろいを瑞々しい五感がキリリと掬いとった名篇。「くくる」「壁つち」「台所育ち」…失った暮しや言葉の情感が名残り惜しく懐しく心にしみる一冊。

「BOOK」データベース

読者の声

12か月それぞれの月についての印象を書いたエッセイは短いながらもそれぞれの季節のイメージを見事つかんだものだし、一つの言葉や様々な所作についての昔ながらの味のある見方が素敵です。(58歳 男性 主婦(主夫))

随所に父親との思い出が出てきてホッとさせられ、ふとした折りにまた読みたくなる本だと思います。(48歳 男性 パート・アルバイト)

5位「北愁」1票

幼くして母を亡くし、継母と文筆家の父に育てられた才気煥発な娘あそぎ。そのまっすぐな気性は時に愛され、時に人を傷つける。夫婦の軋み、婚家の没落、夫の病―著者・幸田文自身を彷彿とさせる女性の波乱の半生を、彼女を取り巻く人々とのつながりの中でこまやかに描きあげた長編小説。

「BOOK」データベース

読者の声

緻密な文体が情景を鮮明に描いており、まるで映画を観ている気持ちになります。(28歳 女性 主婦(主夫))

5位「みそっかす」1票

読者の声

小学校までの複雑な生い立ちを記したエッセイだが親の影響を受けて育つことを考えさせられる作品。(40歳 女性 主婦(主夫))

まとめ

いかがでしたでしょうか。幸田文のおすすめ作品をランキング形式で紹介しました。ぜひ手に取って読んでみてください。

タイトルとURLをコピーしました