「シンプル・プラン」善良な市民が転落する【あらすじ・感想】

「シンプル・プラン」がどのような作品なのか、読者による作品のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「シンプル・プラン」を読んだきっかけ

この作品を見つけたのは、たまたまです。書店でなにかいい小説がないかとブラブラしていたとき、この作品のタイトルが目に入りました。私はドラマ「SPEC」が好きで、ドラマの中で「シンプルプラン」という単語が登場します。ちょうどSPECのDVD-BOXを買ったばかりということもあり、運命的なものを感じて、この小説を購入し読み始めました。

「シンプル・プラン」はどんな小説?

「シンプル・プラン」は、スコット・スミスによるスリラー小説で、近藤純夫により日本語訳されています。ただの一般人である主人公が、ふいに大金を手に入れてしまったためにどんどん「普通」から転がり落ちる様が克明に描かれており、金を得る前後の落差と、人間の思考の変化に圧倒されます。

「シンプル・プラン」のあらすじ・ストーリー

主人公ハンク・ミッチェルは、兄とその親友とともに、両親の墓参りに向かっていました。ハンクは飼料店に勤めるごく一般的な会計士で、家には出産を控えた妻がいます。

それに対し、兄とその親友はもういい年齢でありながら、定職に就いていませんでした。そんな彼らは墓参りへの道すがら、飛行機が墜落しているのを発見します。飛行機の中にはカラスに食い漁られた人間の死体があり、周りの状況から、墜落してしばらく時間が経ったもののようでした。彼らはその飛行機の中かから、見たこともないような大金を発見します。

それを見た兄とその親友は目の色を変え、「盗んじまおう。飛行機が落ちたなんてニュースは流れていない、自分たちが盗ったなんてバレない」と主張します。主人公は最初、彼らに反対しますが、やがて押し切られ、納得し、金を盗むことに同意します。

しかし同時に、主人公は彼らに、ごく単純な計画(=シンプル・プラン)を提示します。金は持ち帰る。しかしほんの少しでもこのことがバレる可能性が浮上したら、金は全て燃やす。

その確証が持てるまでは自分が預かるので、確証を得られた後に山分けしよう、と。兄とその親友はその提案に渋々納得し、金はハンクが隠し持つようになりました。彼と、この計画を話した彼の妻は最初、この金が手に入ればラッキー、という軽い気持ちでした。ところが実際に大金が手元にあるため、しだいに金に執着し始め「金を燃やす」という選択肢が隅に追いやられていきます。

また、彼には、飛行機へ証拠隠滅に向かった際の目撃者、兄の親友からの恐喝、兄の精神面でのグラつきといったさまざまな問題が襲い掛かります。それらひとつひとつに「対処」していくうちに、気づけばハンクは、もう後戻りできない、あの大金を自分のものにできなければどうしようもない状態にまで追い込められていくのです。

「シンプル・プラン」を読んだ感想

小説を読んで、ここまで衝撃を受けたのは本当に久しぶりです。最初は軽い気持ちで読んでいましたが、どんどん物語の中に引きずり込まれていきました。

善良で、まともで、どちらかといえば大人しい人物として登場した主人公が「シンプルプラン」を主導したことにまず驚き、それから次の犯罪に手を染めるまでの早さにまた驚きました。個人的には共感できる部分の方が少ない主人公なのに、主人公の人生を自分の人生のように感じてしまう。

そんな小説に出会ったのは本当に久しぶりでしたし、だからこそ、彼の転落っぷりが我がことのように感じられてしまい、読後しばらく茫然自失としてしまいました。主人公が悪事を働きまくってしまうストーリーは結末をどうするかがとても難しいと思うのですが、この作品の結末には、もしかしたら賛否両論あるかもしれませんが、私は大いに納得できました。

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