「乳と卵」身体の変化と葛藤する母とその娘の感情がぶつかり合う小説【あらすじ&感想】

「乳と卵」がどのような作品なのか、読者による小説のあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「乳と卵」はどんな小説?

「乳と卵」は、川上未映子の芥川賞受賞作品です。

母・巻子、娘・緑子、伯母・夏子の三人のとある夏休みの3日間を描いた小説で、女性ならではの身体への葛藤、母娘関係の軋轢、誰かを守る母性を描いた、女性性について深く考えることができる作品です。

「乳と卵」のあらすじ

登場人物は、豊胸手術を望む母・巻子、言葉を発しない娘・緑子、巻子の姉・夏子。豊胸手術の説明を受けに大阪から上京した巻子親子は、夏子の部屋で争いを繰り返す。

初潮などの女性特有の成長に戸惑いつつ、その上、胸を膨らまそうとしている母に戸惑いを隠せない緑子は、伯母にあたる夏子に筆談で母への不満をぶちまけます。

恨みつらみを述べる緑子だったが、本当は「自分のために働き、頑張って生きている可哀そうな母」への思慕が止まりません。大阪へ帰る前日の夜、外に出たまま帰ってこない巻子を心配し出す緑子。酔っぱらってひどい状態で帰宅した巻子に対して、思いの丈が膨らみすぎ、とうとう声を出して「お母さん!」と叫ぶ。

緑子は冷蔵庫の中にあった卵を、自分の頭にぶつけ始める。そんな混乱した緑子を見た巻子は、一緒に卵を頭にぶつける。二人で一緒にぐしゃぐしゃになった母娘は和解の道をたどり、大阪に帰っていく。

「乳と卵」を読んだ感想

誰かを「可哀そう」と思う気持ちは「助けたい」「守りたい」という母性へと昇華させられていく過程が見られる、非常に緻密にできた女性文学だと思いました。

身体の成長に伴う緑子の嫌悪がとても鮮明に書かれていますが、それが母との和解へと至る道は、非常に切なく一方で多幸感にあふれていました。母娘と伯母という女性の親族関係の中で紡がれる、ひとりひとりの女としての生き様にも力強さを感じられます。

「胸を大きくさせたい母」と「女性性に抗う娘」の対比から、女性の心情を物語るのは秀逸だと思いました。

体の成長は「もう元に戻らない悲しみ」も指しており、それでもなお進み続ける人間の歩みに、最後は感動させられます。思春期の時、母親になった時、いろんな立場から読んだら、いろんな感情を感じられる物語だと思います。語りは全て大阪弁。連なる言葉に圧倒されます。

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