「コンビニ人間」ヤバい?気持ち悪い?他人の性格や振る舞いをコピーすることでまともな人間らしくいる主人公・古倉【あらすじ・感想】

「コンビニ人間」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「コンビニ人間」を読んだきっかけ

この本を読んだのは大学生のときでした。図書館で通学の電車で読む用の本を探していて、この本に出会いました。

話題にはなっていたものの、世間の流行りには簡単に乗りたくないという変な意地があったので読まずじまいでしたが、他に面白そうな本がなかったので、半ば消去法でこの本を手に取りました。

どんな小説?

芥川賞を受賞した作品作です。この作品が訴えているのは何なのか。小説を読む度にそんなことを考えます。この作品は特にそれを考えさせられました。

考え方によってはその答えに人間に対する危機感を感じる可能性もあります。 なのでこの作品を一言で言うとアラームです。読んだ後になって初めて危機を感じることができます。 少なくとも私はそうでした。

あらすじ

主人公は古倉恵子、女性。30代ですが定職に就かず、コンビニでアルバイトとして働いています。結婚もしておらず、恋人もいません。

しかもこの古倉恵子という人間、かなり癖?がある人です。良く言えばピュア。悪く言えば人の気持ち、思考がわからない。何も知らない幼いこどもから可愛さを取り除いた存在といったところでしょうか。

そんな彼女が人間らしく振る舞える場所がコンビニでした。半ば空っぽの人間の彼女はそこで共に働く従業員達の性格や振る舞いをコピーすることで、人間らしく、まともな人らしくいれることができました。

しかし白羽という男の登場で物語りが動き出します。かつてのバイト仲間で、問題を起こしバイトをクビになった過去を持つ白羽。

そんな白羽ととある理由で共に暮らすことになります。 まさかの恋愛展開!?と思いきやこの同居には恋愛感情は含まれていません。というより白羽が彼女に寄生したとも言える状態です。 彼女は白羽により働いていたコンビニを辞めさせられ、白羽の指示で就活をさせられます。

客観的に見れば彼女が社会人として大きな一歩を踏み出す重要な局面かと思われますが、彼女は彼女でした。 面接に行く途中で立ち寄ったコンビニは、経験の浅い店員がレジ対応をしており、お客さんで混雑している状態でした。

何を思ったのか、彼女はあたかも本社から応援に来た社員の如く、そのコンビニのピンチを救います。実際対応していたコンビニの店員もそう思ってました。面接前だったので、それに怒った白羽は彼女を連れ出します。

しかし彼女は自分の働く場所、生きる場所はコンビニであることを強く感じ、その彼女の狂喜じみた熱意に恐怖を感じた白羽は逃げるように彼女の前から立ち去りました。 結局彼女の生きる場所はコンビニなのでした。

読んだ感想

読み終わって思いました。この作品は社会で生きる人間への警告に感じます。

私が考えるに人間は1つの箱かもしれません。多かろうが少なかろうが、その箱に何かしら入れなければ、その人は空っぽの存在になってしまいます。おそらく彼女はそうだったと思います。

ですが彼女の拠り所であったコンビニで働き、共に働く従業員たちの振る舞いをコピーすることで自分の箱を満たしているつもりだったのではないでしょうか。

その箱には人の振る舞い方。喋り方、仕草、意見などを紛いなりに詰め込んでいたかもしれません。いわゆる普通に生きていれば大丈夫だと思います。ですが私たちも一度立ち止まり自分の箱を覗いて見ましょう。どうか箱が空ではありませんように……。

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