「この闇と光」固定観念が覆される美しいゴシックミステリー

「この闇と光」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「この闇と光」を読んだきっかけ

ミステリー小説を読みたいと思い、本屋をウロウロしていた時にこの本に出会いました。結末に大どんでん返しのある作品が好きで、「すべての世界が崩れゆく快感!!」という帯の文言に惹かれて即購入です。さらに、中世ヨーロッパを舞台にしたようなゴシックミステリーという点も面白そうだなと思いました。

どんな小説?

服部まゆみ著作の「この闇と光」は直木賞候補にもなった作品です。叙述トリックを用いたミステリー小説で、後半には驚くような仕掛けがあり、先入観無しに読み進めてほしい作品です。

そして、一読した後には伏線を確認するために必ずもう一度読み返すことになります。結末に辿りつく前に絶対にネタバレを読んではいけません。

あらすじ

少女レイアは森の奥の「冬の離宮」でおとうさまとダフネ、犬のダークと暮らしていました。目が見えないというハンディキャップを抱えながらも、父の愛情を一身に受け、美しいドレスや美しい物語に囲まれて育てられてきました。父は一国の王でした。しかし、戦争で負けて国を奪われ、ここにレイアと共に監禁されているのです。

父は時々、城下へ買い物に出かけることを許されますが、レイアはここから出ることができません。目が見えないのは「魔女のしるし」で、ここの周りを監視している兵士に知られれば殺されてしまうからです。レイアの身の回りの世話はおとうさまとダフネがします。

ダフネはいつも甘ったるい香りをまとっているので、彼女が傍にいるとレイアにもすぐに分かりました。ダフネは恐ろしい女性で、おとうさまがいない時に、レイアが泣いたり物を落としたり何かを汚したりすると声を張り上げて叱り、暴力を振るうこともあります。

そして、幼いレイアに「死ね」「殺す」などと、いつも酷いことを言うのです。レイアはこのダフネが恐ろしく、大嫌いでしたが、盲目の彼女はダフネに助けられなければ生活できませんでした。そうして育ってきたレイアは13歳になりました。最近はダフネもあまり近寄ってきません。

もう一人で色々なことができます。ピアノも弾けるしお手伝いもできる。父が買い与えてくれる物語を貪るように読みながら幸せに暮らしています。しかし、ある日その幸せが突如奪われ、レイアの世界は一変しました。

レイアが信じていたものは全て彼女の前からなくなり、美しい世界はどこかへ消えてしまったのです。おとうさまは?ダフネはどこへ?レイアは一体何者なのか。何が事実で何が虚構だったのか。反転する世界の末に見える真実とは…?

読んだ感想

初めは中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジー小説を読んでいるような印象でした。でも、なんとなく違和感がある。読み進めていくうちに、その違和感が一つずつ増えて大きく広がっていき、「まさか!」という疑いが確信に変わった時にこの小説の巧みなトリックに気付く、というような作品でした。

とにかく、明らかになっていく真実に驚愕です。ここからはネタバレになるので、これから読む人は注意してください。疑問なのは、「彼」がこうした事件を起こした理由です。

そして、なぜ王女レイアとして育てたのか。それらははっきりとは明かされず、最終的な「彼」の目的も分かりません。結局、どこまでが虚構なのか曖昧なまま物語が終わっていきます。しかし、この「はっきりとは分からない」ところに本作の小説としての至上の美しさがあるのでしょうね。読者が色々と想像し、味わう。そんな楽しみがある作品でした。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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