「トロッコ」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「トロッコ」を読んだきっかけ
大学時代に文学部を専攻していて、芥川龍之介の作品にハマっていました。彼の作品を全て読みたいと思い、読みやすいものから手を付けようとトロッコを読み始めたのがきっかけです。
どんな小説?
トロッコは、芥川龍之介が大正11年の3月に「大観」で発表した作品です。
主人公の子供が、自身の憧れを達成して満足感を味わったものの、最後の一言でどん底に落とされてしまうという物語になっています。内容も短いため、子供でも読める児童文学としても有名です。
あらすじ
8歳の良平は、村外れにある工事現場で活躍するトロッコに魅了されていた少年でした。毎日、足しげく工事現場に通っては、トロッコを押す土工になりたいという憧れを密かに持っていました。
そんな時、良平は2人の心優しい土工に出会います。2人はトロッコを押したいという良平を快く受け入れ、一緒にトロッコを押しながら歩いてくれたのです。
3人は上り坂の時はトロッコを押して、下り坂の時にはトロッコに乗って降りるという動作を繰り返していました。良平は、トロッコを押すだけでなく乗れたという満足感から、もっともっと3人でトロッコを押していたいと思うようになります。
ですが、しだいにそろそろ家に帰りたいとも思うようになってきていました。しかし、優しくしてくれた土工たちに、自分から家に帰りたいと言い出すことが出来ずにいました。そのうちに、土工たちは近くの茶屋に入って休憩をしてしまいます。辺りはもう夕暮れで日が沈みそうな時でした。
良平はもう気が気じゃなく、早く家に帰りたいとだけ考えるようになっていました。そして、そんな時に優しかった土工たちから、「もう遅いから家に帰りな」と言われてしまいます。
なんでも、土工たちはこの先に泊まるらしいのですが、良平は両親も待っているだろうから早く帰れというのです。
てっきり3人で一緒に帰れると思っていた良平は、絶望に立たされてしまいました。今まで来た長い道を、日暮れの中、たった一人で帰らなければならないのです。
それでも良平は泣くのも我慢し、ひたすらに走って自分の村を目指し走り出しました。途中で土工からもらった駄菓子も捨て、靴も脱ぎ捨てながら必死で走り、家を目指したのです。
読んだ感想
8歳の少年、良平の感情が手に取るように分かる良作でした。子供ならではの憧れや考えが、ひしひしと伝わってきます。
前半は優しいと思っていた土工たちに対して、後半は嫌悪感すら感じてしまうという対照的な感じも見事に描かれていて、その辺が読んでいてとても面白かったです。
最後には良平が大人になって、この時のことを振り返っているのですが、大人になった良平が土工たちに対してどう思っているのかという事に関しては、明言がされていません。
だからこそ、読み手によって感じ方が変わる所がまた面白いです。比較的、短いストーリーで子供でも読みやすいので、いろいろなディスカッションにも使えそうな題材だと思います。親子の本の読み聞かせにもオススメな小説です。
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