「君の膵臓をたべたい」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「君の膵臓をたべたい」を読んだきっかけ
インパクトのあるタイトルに惹かれ、映画を観に行ったのがきっかけです。映画に感動して、映画館を出た後すぐに本屋に行き、小説を買いました。映画とはまた違う良さがあり、一晩で一気に読んでしまいました。
どんな小説?
膵臓の病気を患った人気者の少女と友達のいない少年がふとしたきっかけで出会い、交流を深めていくお話です。突然始まった2人の奇妙な生活を通して、やがて人との関わりについて考えさせられます。
テンポの良い構成になっているので重さはあまり感じません。物語を通して友達とはなにか、生きるとはなにかということを読者に問いかけてくる作品です。
あらすじ
主人公の「僕」は小説を読むのが好きな高校生で、他人と関わることに興味がなく、クラスメイトとの誰とも交流せず孤高の日々を過ごしていました。そのため、クラスメイトからは「根暗」などと陰口を叩かれてしまいます。でも彼は友人と呼べる人間がいないことに負い目を感じることはありませんでした。
そんな「僕」はある日、盲腸の手術の抜糸のために病院へ行きます。彼が病院のロビーで診察を待っていると、とある本が置き去りにされていることに気がつきました。本好きであるが故に興味を引かれてページをめくると、そこには「共病文庫」という見慣れないタイトルが書かれていました。読み進めると驚くべきことが書いてありました。この本の持ち主は膵臓に重い病を抱えていて、余命残りわずかだというのです。
さらに驚くべきことに、「共病文庫」を書いたのはなんとクラスメイトの山内桜良でした。彼女は明るくいつも笑顔で、皆に人気があり、クラスの中心にいるような人物でした。病気とは無縁であるかのような桜良が重病を抱えて生活していることを知り「僕」は絶句します。桜良は病気のことを誰にも言わないよう口止めし、「共病文庫」の存在は彼と彼女の2人だけの秘密となりました。
秘密を共有するようになった2人は、それからしばしば行動を共にするようになります。桜良の親友である恭子は「根暗なクラスメイト」が彼女に近づくのが許せず難色を示しますが、当の桜良が全く気にしないので、次第に2人は恋人なのではないかと周りに噂されるようになります。
2人の関係は特殊でした。友人でも恋人でもないけれど信頼できる関係。2人は互いを通して、知らず知らずのうちに己の内面に向き合っていくことになります。まったくの正反対な存在だと思って接していた彼らが交流をしてだんだんと変化していく、そんなストーリーです。
読んだ感想
はじめは強烈なタイトルに少し気色の悪さを感じていましたが、ストーリーは爽やかな青春そのものでした。病気を扱っだ題材であるものの、闘病生活がメインではないので重苦しさはなく、さくさくと読み進めることができます。
ヒロインの山内桜良は実際にいそうでいないような絶妙なキャラクターに仕上がっています。時折見せる言動がかわいらしく、まるで絵に描いたような女の子です。序盤は桜良が誰からも好かれる完璧な人のように描写され、なおかつ彼女がなにを考えているのか読み取れないので、どうしても主人公の彼に寄って読者は読み進めてしまうと思います。
ところが終盤になるにつれ、衝撃の結末とともに、彼女の本当の姿が見えてきます。そしてタイトルの意味を理解したとき、そういうことだったのかと鳥肌が立ちました。読了後、誰か大切な人と会って話がしたくなる心あたたまる作品です。
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