「陽気なギャングが地球を回す」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「陽気なギャングが地球を回す」を読んだきっかけ
この作品を読んだのは、中学生になった頃小説好きな母親から「読みやすいから読んでみれば」と紹介されたのがきっかけです。
かねてより伊坂幸太郎作品はテンポが良くて好きだと母から聞いていて興味はもっていたことと、夏休みで時間を持て余していたこともあって何気なく読み始めました。
どんな小説?
不思議な能力を持った男女4人組の銀行強盗たちのストーリーです。伊坂幸太郎作品の代名詞とも言える軽快な会話シーンと、要所要所に散りばめられている伏線を回収していくと最後はニヤッとしてしまう展開で一気読みしてしまう作品です。
メインの登場人物4人のありえない特殊能力も、ストーリーと合わさると実際に存在するのではないかとわくわくするほど人間味のある会話シーンが見ものです。
あらすじ
4人の強盗たちがいつも通り溜まり場の喫茶店で銀行を襲う計画を詰めていると、紅一点シングルマザーの雪子が息子のことをいつにも増して気がかりにしていた。
作戦実行の日、4人の芸術的とも言える銀行襲撃が行われた。「ロマンはどこだ」と巻き込まれた銀行客相手に得意の演説を繰り広げる響野のおかげで客たちは怖がることなくあっけにとられ、その間に颯爽と銀行を後にした響野、成瀬(嘘を見抜く能力をもつ)、久遠(スリのスペシャリスト)は異常に正確な体内時計を持つ雪子の運転で逃走をはかる。
しかしその逃走中に飛び出してきた車から銃を持った男たちが出てきて、4人の戦利品を奪っていってしまった。その犯人が今話題になっている現金輸送車ジャック犯だと気付いた4人はどうにか現金を取り返そうと手掛かりをたどる。
久遠のお手柄で手に入れていた財布から相手の一人の家を調べて向かうと、なんとその犯人の一人は仲間に切り捨てられ殺されていた。
雪子の息子慎一が誰かに追われていると響野と久遠に助けを求めピンチを救うと、なぜか拳銃をもった男が現れたがこちらに危害は与えてこないため、久遠が携帯電話を掏って彼らは早々にその場を後にした。
成瀬が発見した死体はこの拳銃男が殺したものだと確信した成瀬、響野、久遠は雪子の行動に怪しさを覚え、雪子が別の人間と企み自分たちの現金を持ち逃げさせたのではないかと予想する。
その予想は的中し、相手は慎一の父、地道だと判明する。雪子は慎一に地道を近づけないため取引をしていたが、相手の親玉に裏切られ途方に暮れた。4人は再び現金を取り返して殺人も白昼に晒すという逆襲を成功させ、いつものように平和に次の強盗を行うのだった。
読んだ感想
伊坂幸太郎作品の特徴である登場人物たちの軽快な会話が多く、あっという間に読み終わってしまいました。
軽快なだけでなく、響野と成瀬がそれぞれの手にした電話からお互いつながっていることが判明して一瞬疑心暗鬼にさせられる展開とそれを紐解き真犯人を追い詰める過程がしっかりと作りこまれる伊坂作品の最大の魅力だと思います。
慎一のことや4人の特殊能力のことなど細かい伏線をどんどん回収してひとつの結末へとつなげてくれる展開が当時中学生だった私にもとても気持ちよく、以降も伊坂幸太郎作品を読み漁るきっかけとなりました。
強盗が主人公という設定や死人が出ることもどうしても暗くシリアスになりそうな内容にもかかわらず終始明るく爽やかに描かれているので幅広い年代の人におすすめできる作品です。
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