「一夢庵風流記」戦国時代を舞台とした前田慶次郎の小説【あらすじ・感想】

「一夢庵風流記」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「一夢庵風流記」を読んだきっかけ

歴史小説のレビューサイトで、必ず上位に入る作品だったので読みました。 主人公の前田慶次郎は舞台の戦国時代で一世を風靡した武将ではないのに人気がある、というところも不思議に思っていました。

どんな小説?

戦国時代を舞台とした、前田慶次郎が主人公の小説です。彼が傾奇者になるまでと、傾奇者になってから一貫する生き方を描いています。

義理と風流を大切に生きる一貫した姿は、途中妻子と別れてからより一層の魅力を増していき、自分で選んだ主と仲間のために義理を通す姿には心惹かれます。

あらすじ

前田慶次郎は前田利久の養子となり、歴史の荒波に揉まれながら妻子を持って静かに辛抱強く暮らしています。

利久が死んで、前田家との繋がりに義理が亡くなったと考えます。派手な衣装を好み気に入った馬と戦に出て活躍する慶次郎のことを、秀吉は気に入ります。

慶次郎は傾奇者として許しを得たことになり、喧嘩を買うことになるのです。ある日、上杉家の若者の喧嘩の立ち入った直江兼続と運命の出会いをし、慶次郎は男惚れをしてしまいます。

秀吉の治める世は平和で、女遊びをしても慶次郎は満たされず合戦で死地に出向きたいと考えるようになります。

そこへ秀吉にきな臭さを感じた上杉家が佐渡攻めをすると聞き、慶次郎は兼続のもとへ自ら向かいます。佐渡の裏には秀吉がいると知って、慶次郎の心は上杉家に寄り添うのです。

秀吉の命による朝鮮出兵にも、上杉家として慶次郎は参加します。慶次郎は戦況予測をするも秀吉政権には相手にされず、結果日本は惨敗をしてしまいます。

慶次郎は朝鮮で恋に落ちた伽姫と再会をするも、利家の死により日本国内の勢力図が大きく変わってしまうのです。 慶次郎は兼続のいる上杉家の元へ行くことを決意して、兼続に仕えることになります。

合戦で上杉家は劣勢となり、兼続自らが殿を務める最悪の状況となります。しかし慶次郎は自軍8人で勇敢に攻め入り、勢いのままに戦況を優勢に変えてしまうのです。

そして、日本に連れてきた伽姫のもとへ、戦は終わったと帰るのです。 慶次郎の戦いぶりは日本中の話題となり、士官の誘いが後を絶ちません。慶次郎は自ら死んだ人間だとして、今は一夢庵ひょっとこ斎として風流に身を寄せる者だと断ります。

慶次郎は先の戦いで貧しくなった上杉家ひいては兼続のことを思い、兼続の傍にいるものの士官の話は承諾をしないまま死ぬのです。

読んだ感想

前田慶次郎が養子になってから義理高く暮らしていたところは驚きでした。慶次郎の中で父の利久は尊敬する人物で、本来は自由人である慶次郎の我慢の気持ちが伝わってきます。

合戦で心を燃やすことが好きで、でも戦人ではない利久へ気を使っていたのでしょう。 利久が死んでから慶次郎は変わります。妻子を置いて自由に生き始める姿は、暴れ馬をも手なずける姿から見え始めます。

権力者である秀吉に気に入られたことにより慶次郎の存在価値は大きくなっていく様子が、若者から喧嘩を売られるシーンからよく分かります。結果残忍な事をしても、一貫して義理を通す慶次郎は男らしいです。

一番大きな変化は、直江兼続との出会いだと思います。兼続と出会ってから、慶次郎は傾奇者としてだけではなく、兼続を助けたいと思うようになるからです。

佐渡の時も最後の絶対絶命の戦況でも、慶次郎は最後まで攻め続ける姿は感動的でした。 最後まで義理を通し、自分の認めた上杉家・兼続の傍に心を置いて死んでいくという慶次郎の生きざまは本当に格好良いと思いました。

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