「時生」タイムスリップしてきた少年との出会い。過去・現在・未来が交錯する感動のストーリー

「時生」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「時生」を読んだきっかけ

作者が東野圭吾だったからです。彼の作品をすべて読むべく、色々な小説を手に取って読み漁りました。時生はその中の一つです。かなり厚い本ですが、手に取ってすぐに読みました。東野圭吾の小説はとても読みやすく、引き込まれるのでほとんど読みました。

どんな小説?

1970年代の日本を舞台にした作品です。主人公の若者、宮本拓実が謎多き少年と出会い、行方の分からなくなった恋人を追う姿を描いたものです。

この謎多き少年が2004年からタイムスリップしてきた拓実の息子、トキオで、この二人が様々な人との出会いのなかで自分達の人生と向き合って成長していく様を描いた作品です。実際に日本で起こった事件や事故もモチーフとして作品の中に出てくるところが東野作品らしい一場面です。

あらすじ

宮本拓実はろくに仕事もしていない若者で、その日暮らしをしていたところ、花やしきで「トキオ」と名乗る少年と出会い、身寄りのないこの少年がなぜか他人とは思えず、居候させることにする。

当時、拓実には千鶴という彼女がいて、彼女に金銭的に世話になっていたが、ある日突然置手紙を残して、彼女が姿を消してしまう。彼女が大きな事件に巻き込まれていると感じた拓実は、トキオとともに、彼女を探し始める。

トキオは未来からタイムスリップしてきた少年で、拓実が自分の父親の若いころだとわかっているが、拓実はそれを知らない。話していないのに、自分のことをよく理解して、時には未来を当ててしまうトキオに対してはじめは不信感もあるが、なぜか親近感が沸き、トキオの言うことを素直に聞いてしまう拓実。

千鶴は未来の妻ではないとトキオは断言するが、なんでそんなことがわかるのか、戸惑う場面もある。拓実は大阪の元街生まれで貧しく、体の弱い母が里子に出し、里親によって育てられた。父親とは死別。母はがんを患って寝込んでいると聞かされる。母のことには興味がない拓実だが、その母に会いに行くようにトキオに勧められ、何度も会いに行き最後には母親と和解する。

様々な人との出会いをきっかけに自らの人生と向き合い、人間として成長を遂げていく主人公の姿を通して、生きることの希望と親子の愛が描かれている。

2004年のトキオは、グレゴリウス症候群という、遺伝病にかかっており、高校に入ったころにはその病状が悪化し、もう先は長くないという病状に臥せっていた。その病院で妻麗子に向かって、「実はずっと昔、俺はあいつにあっているんだ。」という拓実の告白から物語が始まる。

物語の最後は、トキオがなくなる場面になるが、拓実は最後に大事なメッセージをトキオに伝える。

読んだ感想

病院で眠るトキオを前に、妻に告白をするシーンから物語が始まり、そこからどんどん引き込まれるストーリー展開に、胸をおどらせて読みました。

生まれてくる我が子に遺伝病があり、若くして亡くなると知りながら、子育てをし、最後の別れのシーンに、息子にメッセージを残す拓実の言葉で最後は締めくくられている展開がとても面白かった。

息子が父の若いころに表れて色々なアドバイスをして、どうしようもない若者の人生を変えていくストーリーがとても良かったです。最後に感動が残りました。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。電子書籍はありません。

他の電子書籍サイトでも「時生」の電子版は読むことができません。

honto では、紙の本を購入することができます。

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