水上 勉おすすめ小説ランキング13選【読書好き3人の声を集めました】

水上 勉は1919年生まれ、福井県出身の作家です。1961年に「雁の寺」で直木賞受賞。ありのまま人間を描く社会派の作家で、膨大な数の作品を残しています。

今回、読書家にアンケートをとり、水上 勉の作品のなかで一番好きな作品を選んでもらいました。感想とともに結果をお伝えします。

1位「雁の寺」10票

頭の鉢が異常に大きく、おでこで奥眼の小坊主・堀之内慈念は寺院の内部になにを見、なにをしたか。京都の古寺、若狭の寒村、そして滋賀の古刹を舞台に、慈念の漂流がつづく。著者の体験にもとづいた怨念と、濃密な私小説的リアリティによって、純文学の域に達したミステリーである。

昭和36年上期(第45回)直木賞を受賞した第一部の「雁の寺」につづく「雁の村」「雁の森」「雁の死」の四部作に新たに加筆し一冊に収めた、著者の代表作だ。

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読者の声

テーマが濃いですが、凄く引き込まれる世界観がありとても面白いです。(38歳 男性 会社員)

水上勉独特の日本語の美しさとお寺で修行をする少年の心情の移り変わりが興味深く描かれた作品です。(58歳 女性 会社員)

殺人をしてしまうまでの心理描写がねっとりとねばりつくようで素晴らしいです。(39歳 男性 パート・アルバイト)

少年が抱く混とんとした情念のようなものが、興味深くて面白い。(65歳 男性 無職)

愛人里子を寺に密かに囲う和尚と寺の小僧の慈念、里子の3者について描く作品。(27歳 女性 主婦・主夫)

自身のお寺での壮絶な体験を元に、住職のだらしなさや可哀相な所を描いています。(58歳 女性 主婦・主夫)

雁の寺は、推理小説家のイメージが強い水上勉が13歳で京都の相国寺の塔頭・瑞春院から脱走するまでの辛い日々を糧とした作品であり、塔頭の乱れた実態や僧であっても醜い部分を持っているとして、寺院に嫌悪を抱く水上が人間の本質を描いた作品です。(49歳 女性 会社員)

寺で起こる殺人というのが新鮮でストーリーが丁寧に描かれていた作品です。(39歳 男性 会社員)

慈念という少年の心情の変化が丁寧に描かれており、とても読みやすい作品です。(22歳 女性 学生)

小坊主が住職の愛人と関係してしまうカタルシス。水上自身の幼少期の体験を反映させている。(38歳 女性 パート・アルバイト)

2位「飢餓海峡」7票

樽見京一郎は京都の僻村に生まれた。父と早く死に別れて母と二人、貧困のどん底であえぎながら必死で這い上がってきた男だ。その彼が、食品会社の社長となり、教育委員まで務める社会的名士に成り上がるためには、いくつかの残虐な殺人を犯さねばならなかった……。

そして、功なり名を遂げたとき、殺人犯犬飼多吉の時代に馴染んだ酌婦、杉戸八重との運命的な出会いが待っていた……。

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読者の声

水上勉のミステリーの傑作。戦後すぐの時代背景の描写がすばらしい。(33歳 女性 会社員)

戦後の貧困に喘ぐ時期を生きることになった多くの日本人の悲哀を描いたヒューマン小説。(39歳 男性 会社員)

全体的には社会派ミステリーのような感じですが、読み終わってからは犯人は、とか、トリックは、とかいうよりも、戦後間もない時代の日本はこういう感じだったのかという感慨が深く残ります。若くても貧しければ体を売るしかなかった女性、農村に嫁いでも夫が長男でなければそれこそ牛のように働くしかなかったお嫁さん・・・悪とは、生きるとは、どういうことなのかを考えさせられます。(47歳 女性 自営業)

事件を推測し、10年後また新たに新事実がうかびあがる、ストーリーの流れの中で懸命に生きた者達や人生の悲劇をしっていく(30歳 女性 主婦・主夫)

貧しさゆえに罪を犯さねばならなかったという悲劇や困難の描写に打ちのめされそうになるが、貧困や生きるということについて考えさせられる点で読んでおくべき一冊。(44歳 女性 自営業)

貧困という名の悲劇は、人の考えや思考を不幸な形で変えてしまうのかと考えさせられる所がお勧めのポイントです。(56歳 男性 会社員)

初めて読んだとき、船の沈没事件からここまで壮大なドラマを作ることが出来るのかと水上勉の業に驚かされました。(48歳 男性 会社員)

3位「一休」4票


一休 (中公文庫)

権力に抗し、教団を捨て、地獄の地平で痛憤の詩をうたい、盲目の森女との愛に惑溺してはばからなかった一休のその破戒無慙な生涯と禅境を追跡した谷崎賞受賞に輝く伝記文学の最高峰。

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読者の声

年齢層関係無しに楽しむ事が出来るし人生の勉学になるからです。(28歳 女性 会社員)

一休の生き様を水上勉の独特の表現の仕方で書かれたこの作品は、そのストーリーの展開の面白さに魅了されること間違いなしです。(20歳 女性 学生)

一休さんの生き方や考え方を哲学的に学び描く内容が深くて面白いです。(23歳 男性 パート・アルバイト)

生涯を通じて、孤独だった為の自身の哲学の様な物が有り、一般的なイメージとは、全然違う人生だったところ。(50歳 女性 主婦・主夫)

3位「ブンナよ、木からおりてこい」4票

トノサマがえるのブンナは、跳躍と木登りが得意で、大の冒険好き。高い椎の木のてっぺんに登ったばかりに、恐ろしい事件に会い、世の中の不思議を知った。生きてあるとは、かくも尊いものなのか―。作者水上勉が、すべての母親と子供たちに心をこめて贈る、感動の名作。本書は『青年座』で劇化され、芸術祭優秀賞をはじめ数々の賞を受賞した。巻末に「母たちへの一文」を付す。

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読者の声

絵本にもなっている小説で、椎の木に登って井の中の蛙であったことに気付く作品で、哲学的な教えのある作品です。(48歳 男性 会社員)

生きることがどれだけ大変で、また尊いことなのかが改めて分からされる。(20歳 女性 無職)

人生の教訓みたいなことが、たくさん込めらているので何回か読んでもいい作品です。(48歳 女性 主婦・主夫)

トノサマガエルのブンナが木に登り様々な体験を通して人生を学びます。読みやすく子供から大人まで楽しめる、人生の教訓が詰まっている作品です。(46歳 女性 主婦・主夫)

4位「故郷」3票

NYの日本料理店で成功をおさめた芦田夫妻は、三十年ぶりに帰国。老後をふるさと若狭で暮らしたいと考えたからだった。だが、美しかった里は、原発銀座へと変容し、過疎化の問題を抱えていた。大自然につつまれて安らかに逝きたいと願う夫婦が、ふるさととの再会で見たものは―。

急激に変貌する日本に戸惑いながらも、安息の地を探し求める一族の物語。

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読者の声

家族のあり方を改めて考えさせられる穏やかでありながら繊細な一面が感じられる作品になります。文章としても比較的読みやすい構成になっています。(35歳 男性 会社員)

故郷 の移り変わりを描いた作品です。海外生活をしてきた夫婦が老後は故郷で過ごしたいと戻ってきたが、そこは原発銀座と呼ばれる地に変わってしまっていたというストーリーです。(68歳 女性 主婦・主夫)

個人的に水上勉と同郷で、舞台となった場所に住んでいた身としては、時代を経ても共感できる部分がたくさんあると痛感させられます。生まれ育った場所というのは、どういう状況であれ特別なのに変わりないのです。(39歳 女性 主婦・主夫)

5位「金閣炎上」2票

昭和二十五年七月二日未明、鹿苑寺金閣は焼亡した。放火犯人、同寺徒弟・林養賢、二十一歳。はたして狂気のなせる業か、絢爛の美に殉じたのか? 生来の吃音、母親との確執、父親ゆずりの結核、そして拝金主義に徹する金閣への絶望……。

六年の後、身も心もぼろぼろになって死んでいった若い僧の生を見つめ、足と心で探りあてた痛切な魂の叫びを克明に刻む長編小説。

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読者の声

昭和25年金閣寺を放火した犯人のバックグラウンドや家族との確執にせまる作品。(25歳 男性 会社員)

金閣放火僧の痛切な魂の叫びを克明に刻んだ内容で、人間は無残な動物と思いました。(38歳 女性 主婦・主夫)

5位「はなれ瞽女おりん」2票


はなれ瞽女おりん

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読者の声

いわゆる盲目の芸者が女性として芸人として力強くけなげに生きていく話しです。今の時代では知ることもなく、またあまり話題にも上らない盲目女性の運命と哀しみがよく描かれていて、考えさせられる小説です。岩下志麻さん主演で映画化もされており、東北の街を舞台にそのような女性たちがどんな生き方をしてきたのか、きれいごとなしに描かれていて感動です。(58歳 女性 主婦・主夫)

視覚障害のおりんが、苦労しながら自我を通していくところです。映画にもなった本ですが、原作はもっと心理描写が細かく、またよくわからなかった瞽女の世界も描かれています。旅回りの瞽女たちの生活は、自分の生ぬるい日常に活を入れてくれた気がしました。(55歳 女性 自営業)

5位「土を喰う日々」2票

著者は少年の頃、京都の禅寺で精進料理のつくり方を教えられた。畑で育てた季節の野菜を材料にして心のこもった惣菜をつくる――本書は、そうした昔の体験をもとに、著者自らが包丁を持ち、一年にわたって様様な料理を工夫してみせた、貴重なクッキング・ブックである。

と同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活の荒廃を悲しむ、異色の味覚エッセーでもある――。

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読者の声

自分で1から畑で野菜を育てていく姿が描かれていて自作の頑張りが伝わります(26歳 女性 パート・アルバイト)

軽井沢に住み自家菜園や森で採れる旬のものを水上氏が料理しながら語りかけてくる。幼少のころ寺で学んだ精進の数々や父との思い出など食に関する衒いのないエッセイ(51歳 男性 自営業)

6位「櫻守」1票

丹波の山奥に大工の倅として生れ、若くして京の植木屋に奉公、以来、四十八歳でその生涯を終えるまで、ひたむきに桜を愛し、桜を守り育てることに情熱を傾けつくした庭師弥吉。その真情と面目を、滅びゆく自然への深い哀惜の念とともに、なつかしく美しい言葉で綴り上げた感動の名作『櫻守』。他に、木造建築の伝統を守って誇り高く生きる老宮大工を描いた長編『凩』を併せ収める。

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読者の声

おすすめポイントは、桜を守り育てることに生涯を捧げた人間のさまを日本的な美しい情緒あふれる世界観で表現しているところです。(43歳 女性 主婦・主夫)

6位「醍醐の桜」1票


醍醐の桜 (新潮文庫)

私は集中治療室で不思議な夢をみた―敗戦の前年、伏見墨染町の輜重輓馬隊にいた私の持ち馬の「照銀」が、ベッドの傍にきて女ずわりをして、しきりに私に古い昔の話をする。現実の私は醍醐のリハビリセンターに移り馬を繋いだ桜樹を捜して歩く。

表題作の『醍醐の桜』をはじめ1989年天安門事件に遭遇、急遽毅国したその日に心筋梗塞で倒れた著者の、生きて人を愛しく想う佳品7編を収録。

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読者の声

生と死に関して独自の価値観で描かれており、水上勉の人間性がよく表されている作品です。(38歳 男性 会社員)

6位「五番町夕霧楼」1票

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昭和20年代半ば、京都で遊郭の娼妓となった片桐夕子、19歳。貧しい寒村生まれが故、家族のための決心であった。哀れに思った女主人・かつ枝の配慮により、西陣の大旦那に水揚げされそのまま囲われる道もあったが、夕子は自ら客を取り始める。

最初の客で頻繁に通ってくる修行僧・櫟田正順、夕子との仲を疑われている彼が前代未聞の大事件を起こした―。二人の関係が明白となる結末が切なく心に沁みる。実際に起きた事件と対峙した著者が、それぞれの人物像を丹念に描いた渾身の作である。

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読者の声

三島由紀夫の「金閣寺」を意識して同時代に書かれた作品だけあって、両者を読み比べると面白い。だんだんと二つの小説が重なりゆく展開には、なかなか味わえない読後感がある。(34歳 男性 学生)

6位「越前竹人形」1票

“軍艦頭”と罵倒され、乞食女の捨て子として惨めな日々を送ってきた少年僧・慈念の、殺人にいたる鬱積した孤独な怨念の凝集を見詰める、直木賞受賞作『雁の寺』。竹の精のように美しい妻・玉枝と、彼女の上に亡き母の面影を見出し、母親としての愛情を求める竹細工師・喜助との、余りにもはかない愛の姿を、越前の竹林を背景に描く『越前竹人形』。水上文学の代表的名作2編。

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読者の声

美しい妻に対して、女性としてよりも自分の母親の面影を重ね、愛情を求めてしまう主人公の姿に哀しみを感じます。純粋でありながら歪んでしまっている男女間の愛に、考えさせられる作品だと思います。(28歳 女性 無職)

6位「たそ彼れの妖怪たち」1票


たそ彼れの妖怪たち

ことさら懐かしく偲ばれるのは少年の頃、小僧に出された京都の寺で共に生活した美濃の友人のこと。名作『雁の寺』の時空へと回帰しつつ、今おのが身の巡礼歌がきこえる…。「たそ彼れの妖怪たち」「美濃のおいずる」「青墓まで」未刊行・珠玉短篇三作を収録。

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読者の声

思い出の中で、通常からどんどん美化されていくもの。それは、どんなに辛いときでも救われる故郷。とても羨ましい話です。(42歳 男性 会社員)

まとめ

いかがでしたでしょうか。水上 勉のおすすめ小説をランキング形式で紹介しました。ぜひ作品を手に取って読んでみてください。

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