「カラフル」天使業界の抽選に当たり、自分の罪を思い出すという試練を与えらえた

「カラフル」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「カラフル」を読んだきっかけ

高校生の頃、読書好きの友人に勧められたのがきっかけです。作者の森絵都さんの名前は知らなかったのですが、表紙がシンプルで可愛らしかったので、何となく手にとってみることにしました。

どんな小説?

「カラフル」の著者は森絵都さんという女性作家で、ある中学生の男の子を主人公にした小説です。1999年に第46回産経児童出版文化賞を受賞した作品であり、ドラマ化や実写映画化もされて人気があります。子どもにも読みやすい平易な文章で、スッと頭の中に入ってきます。

あらすじ

とある生前の罪によって、輪廻転生のサイクルから外されてしまった「ぼく」の魂。そこにプラプラという謎の天使が現れて、「おめでとうございます!抽選に当たりました!」と言われます。何故かはわからないけれど天使業界の抽選に当たり、試練を受けるというチャンスを手に入れた「ぼく」。

その試練とは、自殺を図った小林真という男子中学生の体にホームステイして、自分の罪を思い出さなければならないというものでした。

「ぼく」は真として再び人間界で生活を始めていき、様々な人に出会っていきます。家族である父、母、兄、そして後輩のひろか…。

最初は、こんなに恵まれた環境で何故真は自殺しようと考えたのか?と疑問に思っていた「ぼく」でしたが、徐々に周囲の人たちには美点だけではなく欠点もあるのだということが分かってきました。

真は学校に友人がおらず、成績もそれは酷いものでした。兄はそんな不出来な真に冷たくあたり、母は不倫をしていました。そんな最低な家庭環境の中でも、密かに真が好意を寄せていた後輩のひろかは、何と援助交際をしていたのです。

真の自殺の原因が判明していく中で、「ぼく」は真っぽくなく振る舞うことで少しずつ周囲の人たちとの関係が変化していきます。そしてこのホームステイという試練を成功させる為に、「ぼく」は自らの生前の罪を思い出そうとします。「しっかりと目を開け。ちゃんと見ろ。ヒントはいたるところにある。」という天使プラプラの言葉。

あるきっかけから、「ぼく」の瞳に映る世界は、色鮮やかな光彩を放ち始めるのです。

読んだ感想

この小説を読んで私が最も印象に残っているキャラクターは、真の兄である小林満という男子高校生です。満は真を馬鹿にしたり軽蔑したりと、とても嫌な兄でした。満は大学受験を控えていますが、急に医学部に志望を変更させます。

自分の自殺未遂が原因なのか?と尋ねる真に、満は屈折していますが弟を思う心情を吐露させます。

「14年間、全く目が離せなかった弟が、ある朝、なんてことないふつうの朝に、突然ベッドの上で死にかけてた。しかも自殺だ。自分で死んだんだ。どんな気分になるか考えてみろ!」

この叫びには、満の心根の優しさが本当に表れていると思います。嫌味っぽくて素直では無いけれど、真の心に響く言葉です。私も兄弟がいますが、やはり子供の頃は喧嘩することも多く、いつでも仲良くはできませんでした。

家族なのに、家族だからという無意識の甘えがあったのだと今は思います。この小説は、自分の見ているものや感じているものだけが全てではないということを教えてくれました。俯瞰的・客観的に自分を見つめ直す良い機会になったと感じています。

他にも援助交際で寂しさを埋めてしまうひろかの心情や、不倫にはしってしまった母の迷いなど、登場人物の心の機微が丁寧に描かれている小説です。

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