「ヘルプ 心がつなぐストーリー」1960年代、白人家庭で働く黒人のメイドは、どんな暮らしぶりなのか【あらすじ・感想】

「ヘルプ 心がつなぐストーリー」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「ヘルプ 心がつなぐストーリー」を読んだきっかけ

この小説は映画化されているのですが、映画を観終えた後に小説版も気になり、手に取ることにしました。映画、小説ともに母からおすすめされて興味を持ったのがこの小説を読もうと思った理由です。

どんな小説?

1960年代のアメリカ・ミシシッピ州のジャクソンが舞台です。主人公はアフリカ系アメリカ人で、白人の家庭でメイドとして働いています。

この時代には黒人差別が色濃く残っており、いくらかその前の時代に比べて直接的な黒人に対する差別を助長する制度は減ってきていたものの、それでもまだまだ白人と黒人の間の溝が深い時代でした。

当時白人家庭で働いていたメイドはどんな暮らしぶりをしていたのか、実際に黒人ヘルプの元で育ったミシシッピ州出身の著者ならではの視点で描かれています。

あらすじ

ミシシッピ州ジャクソン。1960年代、当時はまだ白人と黒人の間にはっきりとした壁があり、そこには色濃い差別もありました。黒人は白人とはそもそも全く違う人種であり、白人は黒人の主人である。

そのような考えが根本的に流れており、黒人側にとっても白人と仲良くなることは初めから考えられないことでした。アフリカ系アメリカ人の白人家庭でメイドとして働く主人公のエイバリーンはこれまで数多くの白人家庭でメイドとして子供たちの世話や家事をこなしてきました。

彼女は、子どもたちがある一定の年齢に育つとその家庭から離れ、別の仕事を探します。理由は、彼女が育て上げた白人の子供たちが年齢が上がるにつれて黒人に対する差別的な考えを持つようになっていくのをみていられないからです。

そんなある日、裕福な白人家庭のスキーターから「白人家庭でメイドとして働く実情を本として世の中に売りに出さないか?」という話を持ち出されます。白人家庭で働いている黒人が、そのありのまま全てを本に書く。そのことがどれほど危険なことかを想像したエイバリーンは、すぐにスキーターにその話を却下します。危険すぎる、と。

実際に彼女の周りにはこれまでにちょっとした反抗的な態度のために白人家庭でのメイドとしての仕事をクビにされたり酷い場合刑務所送りにさせられたメイドたちを何人もいました。そんなこと、エイバリーンにはごめんです。

裕福な家庭出身である白人のスキーターにはその危険性が全く分かっていない。エイバリーン含め多くのメイドにその話を持ち掛けた彼女はあっさりと自分の提案を断られてしまいます。作家になることを夢見る彼女には、何かインパクトのある本を世に売り出す必要性がありました。またそのためにこのアイディアは素晴らしいものだと思っていたのですが、何度も断られ続けスキーターは諦めかけていきます。

しかし彼女から話を持ち出されたエイバリーンの心の中は複雑でした。実際には断ったものの、でも本当は自分の体験を話したい。黒人メイドと白人のお互いの心情が3人の視点から綴られる、当時のアメリカの差別的な歴史をまさにそこで見ているかのような錯覚を覚えながら話が進んでいきます。

読んだ感想

黒人に対する差別に関するニュースは今日も残念ながら日々耳にします。差別とは人種間のみに起こるものではなく収入や性別など自分ではどうしようもないことでも受けるものだと思います。

またこの小説の中で起こる差別がその当時実際にあったのだと思うと寒気がします。とても冷たい空気をこの小説を読んで感じました。これからの世界が平等である世界になることを祈るばかりです。

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