「草枕」那美の憐れを描く物語【あらすじ・感想】

「草枕」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「草枕」を読んだきっかけ

中学生のころ、書店で何かいいものはないかと探していた時に、この本と偶然目があって、不思議と惹かれるものがあり、自然と手に取りました。

その時は、本の内容を知るにはまだ知識はありませんでしたが、知らないなりに斜め上から読み込んで、今では愛読書の一つです。

どんな小説?

夏目漱石により明治三十九年(1906)に発表された小説です。

主人公の男は山道を登った後、雨に見舞われ茶屋へと駆け込み、そこで那古井の宿を知り、宿の主人の娘・那美は今まで見た中で一番美しい所作をする女として見たが、何か足りないと感じていました。

那美には何が足りなくて、男は何を描きたいのか。満州出兵を決めた日本を舞台に、那美の「憐れ」を描く物語です。

あらすじ

主人公は山路を登りながら、とにかく人の世の中は生きにくい、どこへ越しても住みにくいと考えました。雨が降ってきて、茶屋に駆け込んで茶屋の婆さんと会い、那古井の宿のお嬢さん・那美と長良の乙女は似ているという話が出てきます。

二人の男に言い寄られた長良の乙女は歌を残して身を投げます。那古井の那美も同じく男関係で苦労をし、それを聞いた主人公は宿を訪れることにします。夜八時には宿に着きます。他の客はおらず、人の気がない宿で疲れを癒せず、夜が明けるまで一睡もできませんでした。

気のせいか、誰かが小声で歌っているのが聞こえてきます。それは、長良の乙女が残した歌に聞こえ、気になって障子を開けます。呆然としますが、寒さに気づき布団に戻ります。俳句にしてみようとするとき、一滴の涙がこぼれます。自分は泣くことが出来る男だったのかとうれしく思ったのです。

書物を読んでいると女がやってきて、日本の小説、海外の小説の話をした後、地震がおき、女の息が男のヒゲにかかるほど近くにいて、女と距離が縮まり、従兄弟の久一のことを聞きます。

久一は満州へ向かうようです。道を歩きながら詩を考えていると、男の咳払いが聞こえます。素足に下駄を履いた野武士のような人です。那美と会い、那美の袖から財布が落ちます。

男は手を出して財布を受け取ります。野武士が去った後に那美に気づかれ、あの男はと聞くと、日本に居られないからと金をもらいに来たそうです。満州へ行くそうです。そして、那美の離縁された亭主です。那美は兄の家へと向かい、そこに居る従兄弟の久一に、白鞘の短刀を渡します。

川舟で久一を吉田の停車場まで見送ります。那美は男に絵を描いてほしいと頼むが、顔が絵にならないとして断ります。舟を降り駅に向かうと久一と同じ運命の人が溢れています。汽車を見送る中、汽車の窓越しに見覚えのある人を見つけます。

那美の別れた亭主です。那美は、顔を合わせてしまい、今までにないほどの「憐れ」な顔をします。男は「それだ!それだ!それが出れば画になる」と那美の肩を叩きながら小声で言います。男の考える画面はこの咄嗟の瞬間に成就したのです。

読んだ感想

中学生の時には分からなかった人間関係や那美の描写を理解することができ、はじめは短いから読みやすいだろうと手に取ったけれど、開いてみると訳が分からなくなるほど難解な文章であります。

なんとか読み切ったあの頃と比べて、文章を理解しながら読み返すと、意味やストーリーを見つけることができるようになっていて、読む時期によって内容が変わるのが面白く、夏目漱石の小説に共通して言える、読んだ後の「終っていない感」もあって、次の作品を読もう、夏目漱石を知ろうとなれます。

夏目漱石については、沢山の作家が解説したり、思い思いに考えたりして、そういった著作や映像を楽しめるのも良いです。今後の人生をともにする一冊であることに間違いない作品です。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

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