「ブレイブストーリー」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。
「ブレイブストーリー」を読んだきっかけ
この作品はアニメ映画化され、それが面白かったので原作を読んでみようと思いました。また作者が宮部みゆきさんだったので小説のレベルの高さは間違いないと思ったのもきっかけの一つです。
どんな小説?
主人公の小学5年生の少年・亘がお母さんを助けるためにヴィジョンという異世界に行き、女神に願いをかなえてもらうためそこで出会った人々とともに冒険をする物語。
けれど亘だけではなく実はもう一人亘の友人の美鶴もそのヴィジョンにおり、自分の願いをかなえるために旅をしていました。対照的な二人の少年の異世界冒険ファンタジーです。
あらすじ
主人公亘は普通の小学五年生の男の子。平凡な毎日を過ごしていました。けれどある日両親の離婚というつらい現実が亘を襲います。お父さんと別れなければならなくなった亘のお母さんは自殺未遂を起こし意識不明の重体になりました。
亘はお母さんを助けたいけれどどうすればいいのかわからなくて、気が付くと以前から異世界に通じるという噂のある廃ビルにいました。
そしてそこからヴィジョンという異世界へと旅立ちます。実はそれ以前に、亘のクラスに芦川美鶴という変わった転校生がやってきていました。美鶴もまた不幸な背景を背負っていました。美鶴は過去に妹を亡くしていたのです。
美鶴もまた妹の死の未来を変えたくてヴィジョンへと旅立っていたのでした。こうしてそれぞれの願いを胸に亘と美鶴のヴィジョンでの冒険が始まります。
もともと臆病で優しい亘はヴィジョンであ勇者となりましたが、前途は多難でした。しかしヴィジョンで出会った猫族のミーナやトカゲによく似た姿の気のいい男キ・キーマと出会い、ともに旅を始めます。
現実世界で頭もよく何でもできた美鶴は魔導士となりひそかにヴィジョンを征服し、願いをかなえようと亘とはべつに動きます。のちの女戦士カッツなどとも出会ます。さまざまな困難に出会い成長していく亘は、ただ望みを叶えるだけでは現実は何も変わらないのでは、と思いを巡らせ始めます。
一方、魔導士となった美鶴はどんな邪悪な行為であろうと妹を助けるためならそれをいとわず、次々に恐ろしい行動を起こし、次第にその心は影の方へと傾き始めます。ヴィジョンという異世界で少年二人はそれぞれの思いをめぐり、悩み成長し、けれど取り返しのつかない闇にもとらわれていくのです。
読んだ感想
何といっても対照的な少年二人のやりとりが秀逸な物語でした。宮部みゆきさんがかかれた初の本本格的なファンタジーだけあります。異世界を旅をしかえってきて成長した子供、というテーマは決してたらしいものではありませんが、この物語には宮部みゆきさん特有のリアルな闇も描かれており、その中で亘がどう希望をもって生きていくかが描かれています。
悲劇的な終わり迎える美鶴は悲しい存在ではありますが決して絶望的なラストではないところがとてもいいのです。この時期に持つ少年たちの戸惑いや世界への疑問、そんな思いが冒険譚でありながらも丁寧に描かれており、児童文学としてももちろん、大人が読む小説としても大変読み応えのある作品だと思います。
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