「杜子春」金持ちの青年が一文なしになった所から始まる話【あらすじ・感想】

「杜子春」がどのような作品なのか、読者によるあらすじと感想です。


出典:https://www.amazon.co.jp

「杜子春」を読んだきっかけ

杜子春を読んだきっかけ 中学生の頃、おもむろに父が購入して来たのがこの本でした。面白そうだったのと初めて触れる芥川龍之介の作品だったので、妙にわくわくしていたのを覚えています。

どんな小説?

元は中国の杜子春伝という小説を題材にしたもので、金持ちの青年が一文なしになった所から話が始まります。

俗世に嫌気が差し、仙人を志して老人に弟子入りするも、試練を乗り越えるうちに大切なものに気付き、人として生きる道を選ぶお話です。

目に見えるもの、見えないけど大切なもの、文体は若干古風にも感じますが子供にも分かりやすく、人の醜さ美しさを描写する、面白さと恐ろしさを感じさせてくれた小説でした。

あらすじ

金持ちの息子であった杜子春は、すっかり貧乏になり友人も無くして、途方に暮れていた所に不思議な老人と出会います。

杜子春は老人の導きで二度、大金を見つけては優雅な金持ちの生活に戻り、金が底をついては貧乏な暮らしに逆戻りするという体験をします。そして三度、現れた老人が高名な仙人である事を看破し、弟子にしてくれるよう頼むのでした。

仙人である老人に弟子入りを認められた杜子春は、山奥で仙人が帰って来るまで一言も喋らないよう言い付けられます。仙人になる為一言も喋らず待ち続ける事を誓う杜子春の前に、虎や蛇、雷や嵐といった困難が次々に襲い掛かってきます。

彼はこれが仙人になるのを邪魔しようとする魔性の仕業に違いないと、一層気合いを入れて試練に立ち向かいますが、次に現れた神将の問いかけにも口を開かなかった事で怒りを買い、命を奪われてしまうのでした。

地獄で目覚めた杜子春は閻魔大王の前に引き立てられますが、仙人との約束を守る為問い掛けに対し沈黙を貫きます。

その後杜子春はさまざまな地獄の責苦に遭いながらも口を開く事はありませんでしたが、畜生道に堕ちたという父母が目の前で責苦に喘いでいるのを見せつけられ、思わず近寄って呼び掛けてしまいました。

父母に呼びかけた杜子春は、いつの間にか老人と初めて会った場所に、その時に戻ってきていた事に気付きました。

そこで父母を見捨てていればお前の命を絶っていたと仙人に告げられますが、杜子春はむしろ仙人になれなかった事を嬉しく感じ、人間らしい正直な生き方を選ぼうと気持ちを新たにします。そんな杜子春に仙人は、山の麓に暮らしやすい家がある事を教えるのでした。

読んだ感想

短編でしたので短い話でしたが、当時も今も、読み応えのある内容だったなと感じました。金持ちと貧乏を繰り返す所は周りの人間の薄情さもそうですが、杜子春本人が懲りもせず遊び呆ける様を愚かに感じつつ、それら全てが人間の愚かさの縮図のようなものに見えて怖くなりました。

その後の仙人の弟子入りからは、頑なに約束を守ろうとする杜子春の気持ちの強さを見直しましたが、親子の愛情から見捨てられず思わず声を発する場面では、約束を守る事の大事さはあるけれど、時に約束を破っても守りたい大切なもの、忘れてはならない大切なものが世の中にはあるという、何か哲学にも通じそうな壮大さを感じて胸が一杯になりながら読み終えました。

Amazonや楽天で購入して読むことができます。

その他、「杜子春」が読める電子書籍ストアはこちらです。

コミックシーモア  BOOK☆WALKER  ebookjapan  BookLive!  honto  ブックパス

タイトルとURLをコピーしました